2015 Fiscal Year Annual Research Report
成獣心筋細胞の分裂機序の解明と心筋再生医療への応用
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15J00378
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原 弘典 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 心筋再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
分裂期心筋細胞を観察・抽出する新システムの構築では分裂期の心筋細胞を抽出・解析するために、Cre-loxPシステムを用いて、心筋細胞特異的に細胞周期を視覚化可能な2つのシステム(αMHC-Cre/+;R26RFucci2マウスとFucci発現アデノベクター)を新たに作成した。従来の心筋細胞分裂の指標[phospohistone H3染色:核分裂、aurora B kinase染色:細胞分裂など]とともに、心筋細胞の分裂を評価可能であることを確認できた。 心筋細胞の分裂を促進する化合物の探索では、細胞分裂を制御するHippo-YAP経路を修飾する薬剤を選出する観点から、約20,000種類の未知化合物スクリーニング(上皮細胞を用いて、YAP・TAZ活性化を指標に)を施行し、64種類の化合物を選択した。さらに、初代心筋培養細胞の増殖能に与える影響を検証し、数種類の有望な化合物を選出した。現在、これらの化合物の側鎖改変を試みており、さらに効果度の高い薬剤の合成を試みている。 心筋細胞分裂を促進する化合物の作用機序の検証として、上記の化合物について、Hippo経路やその他のシグナル経路に与える影響を検証中である(マイクロアレイを実施済)。 遺伝子改変マウス作成と薬剤投与によるin vivo検証実験として、上記の化合物について、心筋梗塞や拡張型心筋症モデルマウスへ投薬中であり、心筋細胞の分裂能や心機能に与える影響と安全性を検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分裂期心筋細胞を単離解析するために、心筋細胞特異的に細胞周期依存的な蛍光プローブ(Fucci)を発色するin vivo(Cre-loxPシステムを用いたマウスαMHC-Cre/+;R26R-fucci2)とin vitro(アデノウィルスベクター)システムを新たに確立できた。また、Hippo-YAP経路を修飾して、心筋細胞の分裂を促進する薬剤をスクリーニング中であり、数種類の有望な薬剤を選出した。現在、この薬剤の詳細な作用機序の検討と側鎖改変(効率を高めるため)を行っており、今後はマウス心筋梗塞モデルへ投薬し、心筋細胞の分裂能や心機能に与える影響と安全性も検証予定である。(概ね順調に進展している)
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Strategy for Future Research Activity |
分裂期心筋細胞を解析するために、新たに確立した心筋細胞特異的に細胞周期依存的な蛍光プローブ(Fucci)を発色するin vivo(Cre-loxPシステムを用いたマウスαMHC-Cre/+;R26R-fucci2)とin vitro(アデノウィルスベクター)システムを用い、化合物の心筋細胞分裂への効果検証を行っていく。 スクリーニングにより得られた心筋細胞の分裂を促進する化合物の作用機序を解析することで、心筋分裂の機序を解明していく。また、マウスへの投薬効果も検証し、創薬へとつなげていく。
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