2015 Fiscal Year Annual Research Report
運動による骨格筋幹細胞機能の活性化に関わる分子基盤の解明
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15J00411
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤巻 慎 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | サテライト細胞 / Pax7 / Myf5 / MyoD / Notchシグナル / Wntシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
C57BL/6jマウスを実験動物として用い、疾患下におけるサテライト細胞の機能変化とそれに対する運動効果について、サテライト細胞の運命決定を制御するNotchシグナルおよびWntシグナルに注目して検討した。ストレプトゾトシンを投与して糖尿病を誘導したマウス(STZマウス)と溶媒を投与したマウス(Vehマウス)双方について、通常飼育した群とトレッドミル走運動を行わせた群を設定し、それぞれSTZ-Cont群、STZ-Run群、Veh-Cont群、Veh-Run群とした。なお、トレッドミル走運動は、1日1時間で1000メートル走る運動を週5日、4週間実施した。腓腹筋の横断切片を用いて免疫染色を行い、サテライト細胞を同定した。Veh-Cont群と比較してSTZ-Cont群では、サテライト細胞の数が減少していたものの、トレッドミル走によってその数は増加することが確認された。また、全サテライト細胞あたりの活性化したサテライト細胞の割合は、VehマウスおよびSTZマウスにおいて、Cont群と比較してRun群で有意に高値を示した。この反応の背景にある分子基盤について、NotchシグナルとWntシグナルに着目し、mRNAおよびたんぱく質を定量することで両シグナルの活性を評価した。その結果、両シグナルとも糖尿病によってその活性が低下することが確認された。また、STZ-Run群において、Notchシグナルの活性は変化しなかったものの、Wntシグナルはトレッドミル走による活性化が認められた。これらの結果から、糖尿病によってサテライト細胞の活性化が抑制されるものの、走運動を行い、骨格筋内のWntシグナルを活性化することでレスキューできる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの筋サンプルを用い、生理学・生化学的な解析を当初の計画どおり順調に行っている。糖尿病によるサテライト細胞の機能低下および走運動による機能改善を確認し、その背景にある分子基盤の解析を進めている。また、過負荷刺激によるサテライト細胞の活性化とその制御分子を明らかにし、この結果はStem Cells International誌に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
サテライト細胞の機能が低下するモデルとして不活動モデルを用い、サテライト細胞機能を制御する分子メカニズムの解析を行う。これまで行ってきた筋組織を用いた解析に加え、単一筋線維および単離サテライト細胞の培養系を用いた解析を行うことで、より詳細なメカニズムを明らかにしていく予定である。また、これらの結果を学術論文まとめるとともに、最終年度の研究成果発表につなげていく。
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Research Products
(3 results)