2015 Fiscal Year Annual Research Report
粒子近傍流れの粗視化応力モデルを用いた混相乱流のマルチスケール相互作用の研究
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15J00439
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
深田 利昭 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 粒子混相流 / 乱流変調 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
流れ場の最小長さスケールと同程度の径をもつ粒子が希薄に混入した場合の乱れの増減は,基本的かつ重要な乱流変調問題として知られており,数値シミュレーションによる解明が期待されている. よく用いられている質点モデルは,粒子からの直接的な影響を受ける流れ場の空間スケールや粒子表面の応力分布が考慮されないため,乱流変調の基礎研究には不十分である. 粒子境界層を解像できる細かい計算格子を用いると,過大な計算負荷のため,小さな領域しか解析できなくなる. したがって広範なスケール幅をもつ乱流に対する粒子混入の効果を解析するためには,粒子径と同程度の幅の計算格子を用いて粒子と流体の相互作用を扱うモデルが求められる. そこで本研究では,粒子サイズと同程度の領域内での体積平均に基づいて, 粒子表面応力を反映させた流体相への作用力モデルの提案を行った.まず流れの基礎方程式に体積平均を施した方程式を導出し, 流体相への作用力の表式を示した.境界適合格子を用いた数値解析結果に基づいて流体相への作用力のモデリングを行った. まず, 一様流および相対速度の無い剪断流の中における粒子表面応力分布について, 遅い流れを仮定した解析解との比較を行い, 定性的な一致を確認した. この結果より作用力の関数形を決定し, 定量的な不一致を係数調整で補うことでモデリングを行った. 従来の質点モデルと異なり, 本モデルでは流体場へ与える作用力が粒子との距離だけでなく, 粒子から見た向きにも依存するという非等方性を導入できる. このことはせん断の効果を作用力モデルに取り入れられるという意味でも本質的な重要性をもつ. いくつかの剪断流に対しては, 一様流および相対速度のないせん断流に対するそれぞれのモデルの重ね合わせが, 作用力の再現に有効であることを数値解析の結果から確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乱流の最小スケールの平均操作を導入して,計算負荷を高めることなく二相乱流に適用できる基礎式を作り,続いて,理論解や数値解を援用して基礎式を数学的に完結させる物理モデルを提案した。その際には流れのせん断の効果と一様流の効果を分離することが重要であることがわかり、流れと粒子の相互作用モデルの本質的な提案ができているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
提案モデルを用いたシミュレーションを行い、乱流要素渦と粒子群との相互作用について明らかにする。特に8月以降にスウェーデン王立工科大学のFLOW centerに研究滞在して、詳細な高負荷シミュレーションと提案した粗視化モデルとの結果を比較する予定である。提案モデルの妥当性が確認できれば、渦と粒子の相互作用をみるための計算負荷が著しく削減される。したがって従来は困難であった、現象の支配パラメータである粒子数、比重、大きさ、密度を様々に変更したシミュレーションを実施する。その結果より、渦の挙動に関する最も重要な条件を明らかにする。
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