2015 Fiscal Year Annual Research Report
アンモニアボラン・金属新規水素貯蔵物質の第一原理計算と実験による探索
Project/Area Number |
15J00486
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中川 祐貴 北海道大学, 工学院, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
Keywords | 水素貯蔵材料 / アンモニアボラン / 電気陰性度 / ボールミリング / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,アンモニアボラン (以下,AB)と金属(以下,Metal)の複合化により,車載用水素貯蔵材料として実用化できる新水素貯蔵材料の創製を目的とする。
本年度は,①作製時に用いる金属種(金属単体,塩化物)による水素放出特性の違い,②固相法,液相法により作製したAB-NaAlH4複合物質の水素放出特性,構造,③機械学習による,AB-Metal複合物質の水素放出温度の予測の3点について研究を行った。 ①では,ABと金属種をボールミリング法により複合化し,水素放出特性を体系的に調査した。金属単体との複合化では,その効果はほぼなかったが,塩化物との複合化では,放出温度が低温化し,副生成ガスの放出量が減少した。放出温度は,Metalの電気陰性度が高くなると,低温化する傾向にあることが判明した。また,副生成ガスの放出量も,Metalが高電気陰性度になると減少する傾向にあった。以上より,Metalの電気陰性度により,放出特性を制御できる可能性が示唆された。 ②では,ABとNaAlH4の複合物質を固相法 (ボールミリング)と液相法により作製し,その放出特性と局所構造について調査した。結果,固相法,液相法ともにNa[Al(NH2BH3)4]相が生成された。従来,この相は固相法により作製されていたが,液相法でも作製できることが示された。しかし,液相法での作製やアルゴン雰囲気でのミリングでは作製時に試料が一部分解するため,水素雰囲気でのミリングが,最適な作製方法であることが明らかとなった。 ③では,AB-Metal複合物質のミリング条件,水素放出温度と金属種の物性をデータベースとし,機械学習による水素放出温度の予測を行った。AB-CuCl2複合物質において,人工知能は,CuCl2の添加量を変えた際の水素放出温度をほぼ正確に予測することができた。よって,機械学習により,添加物の最適添加量を予測できる可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固相法,液相法による作製法と作製時に用いる金属種による水素放出特性の違いが明らかになった。AB-NaAlH4複合物質という新水素貯蔵材料の水素放出特性や,その局所構造についても調査した。また,当初は予期していなかったが,本研究で得た水素放出特性に関する体系的なデータを用いて,機械学習による放出温度の予測を行うことができた。しかし,第一原理計算による調査が不足していることを考慮して,「おおむね順調」と評価する。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度の引き続き、AB-NaAlH4複合物質の水素放出特性とプロセスについて研究を続けていく。また,第一原理計算と実験による材料探索を進める。第一原理計算より,Fe-B-N-H系の水素貯蔵材料が注目を集めており,今年度はこの系について実験とシミュレーション計算の両面から調査を行う。
|
Research Products
(9 results)