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2015 Fiscal Year Annual Research Report

抗炎症作用と気管支拡張作用を併せ持つ既承認薬、メペンゾラートに関する創薬研究

Research Project

Project/Area Number 15J00535
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

山下 泰信  慶應義塾大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2015-04-24 – 2017-03-31
Keywords速度論的分割 / リパーゼ / メペンゾラート / 気管支拡張作用
Outline of Annual Research Achievements

メペンゾラートとチオトロピウム等の抗コリン薬両方をモチーフとして、ハイブリッド構造を持つ化合物を合成した。例えば、メペンゾラートを構成するベンジル酸にトロパン環、N-メチルピロリジン環を組み合わせたり、逆にチオトロピウムのジ(2-チエニル)グリコール酸とN-メチルピペリジン環を縮合させた。いずれも第四級アンモニウム塩とエステル結合を分子内に含む化合物群である。
また、(R)-メペンゾラート前駆体である(R)-3-ヒドロキシ-N-メチルピペリジンの調製、特にラセミ体の分割を試みた。従来報告されている、リパーゼを触媒とする試みにはさまざまな欠点が知られており、問題点克服につとめ、以下の成果を得た。
まず、C. antarctica由来のリパーゼNovozym 435を触媒としたラセミ体アルコールに対する鏡像選択的アセチル化を検討した。(R)-体が(S)-体よりも速く反応し、鏡像選択比を表すE値が15程度と比較的高い選択性を示した。
続いて、上述の逆反応すなわち、ラセミ体アセタートの鏡像選択的脱アセチル化を試みた。リパーゼをNovozym 435、溶媒としてシクロペンチルメチルエーテル(CPME)、求核剤としてシクロペンタノールを使用したところ、望む反応が進行し、E = 30と高い鏡像選択性を示した。
最後に、アセチル化、脱アセチル化ともに同一のリパーゼを用い、直列的組み合わせを検討した。上述のアシル化で得た(R)-体アセタート(74.4% ee)に対し、最適条件、すなわちCPME中シクロペンタノールを求核剤としてNovozym 435を作用させたところ、目的とする(R)-3-ヒドロキシ-N-メチルピペリジンを97.6% eeで得ることに成功した。ラセミ体から通算収率は20%、スケールアップも容易であった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究代表者は(R)-メペンゾラートがその(S)-体よりもM3受容体に対する結合活性が高く、動物実験においても強い気管支拡張効果を有することを、これまでに見出している。メペンゾラートと長時間作用型抗コリン薬のハイブリッド化合物を基質とする創薬研究は、9. 研究実績に示したものを含む数十種類の化合物を合成し、活性測定あるいは結合様式推定に有用と考えられるライブラリー構築の第一歩とした。
研究を遂行する途上、(R)-メペンゾラート前駆体である(R)-3-ヒドロキシ-N-メチルピペリジンの調製法の確立は重要課題であると強く認識するに至った。酵素による速度論的分割に取り組み、本化合物を高い鏡像体過剰率で得ることに成功している。

Strategy for Future Research Activity

合成によって得たハイブリッド化合物はいずれも第四級アンモニウム塩とエステルを分子内に有し、アセチルコリンと構造の相同性を示している。アセチルコリンエステラーゼまたはブチリルコリンエステラーゼに対する基質特異性の検討により、構造活性相関に関する知見取得を目指す。
(R)-メペンゾラートの合成前駆体である(R)-3-ヒドロキシ-N-メチルピペリジンの合成に関しては、目的とする(R)-体を鏡像体過剰率よく得ることはできたが、通算収率は20%と改善の余地が残されている。一般に、ラセミ体の分割では、不要な異性体(50%)は無駄になってしまう。そこで、不要異性体の活用を目指し、以下の検討を行う。1)反応系中で不要な鏡像異性体をラセミ化させ、単一の鏡像体へと収束させる動的速度論的分割、2)リパーゼによる速度論的分割では、不要な(S)-体はそのままアルコールとして得られるので、酸化、還元を経たラセミ体の取得、3)光延法による(S)-体アルコールから(R)-体アセタートへの変換、を考えている。いずれのアプローチにおいても、より高い選択性と堅牢性を示す酵素が求められるので、速度論的分割に供する酵素や反応条件について一層検討する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016 2015

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] 酵素による速度論的光学分割を用いた(R)-メペンゾラート前駆体の合成2016

    • Author(s)
      山下泰信、花屋賢悟、庄司 満、須貝 威
    • Organizer
      日本化学会第96春季年会
    • Place of Presentation
      同志社大学 (京都府,京田辺市)
    • Year and Date
      2016-03-24 – 2016-03-27
  • [Presentation] Synthesis and biological comparison of enantiomers of mepenzolate bromide, a2015

    • Author(s)
      Yamashita, Y., Mizushima, T.
    • Organizer
      THE INTERNATIONAL CHEMICAL CONGRESS OF PACIFIC BASIN SOCIETIES 2015
    • Place of Presentation
      ハワイ、ホノルル (アメリカ)
    • Year and Date
      2015-12-15 – 2015-12-20
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2016-12-27  

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