2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J00565
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
戎 弘実 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | トポロジカル物質 / エッジ流 / Majoranaフェルミオン / Josephson電流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はトポロジカル物質のエッジ状態に特有な物理現象の解明である。この目的を念頭に当研究者は超伝導体/磁性体/超伝導体の接合系を考え、磁性体の秩序が超伝導体に染み込む、逆近接効果を仮定しJosephson電流の計算を行った。この研究はオランダのTwente大学のA. Golubov教授と当研究者が所属する田仲研究室のメンバーとの議論により行われた。次のような結果が得られた: 接合系がトポロジカルに非自明になることにより界面に現れるMajoranaフェルミオンが逆近接効果により別のMajoranaフェルミオンと混成が起こり、その結果Josephson電流の周期がsin2φ(φは超伝導の位相差)という従来のものとは異なる特異なふるまいを示す。 従来超伝導と磁性体の接合系において逆近接効果が研究されることは古くからあったが、逆近接効果と接合系がもつトポロジカルな性質に着目した研究は当研究が始めてある。またこの研究の結果は当初の目的であったトポロジカル物質のエッジ由来の新奇な物理の解明にも応じるものとなっていることも強調したい。この成果はアメリカの物理学会誌、Physical Review Bにも掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の成果以外にも当研究者はトポロジカル物質のエッジの物理現象の解明ということを念頭にBasel大学のJ. Klinovaja准教授とも議論を行い、超伝導上にナノワイアを2つ載せた系がもつトポロジカルな性質やAndreev束縛状態の研究を進めている。研究を遂行するため当研究者は一度スイスのBasel大学に滞在し議論を行った。この成果は現在Progress of Theoretical and Experimental Physicsというジャーナルに提出しており現在査読中である。
このように当研究者は海外の研究者とも連携を深め、日々研究を進めている。以上により当研究者の研究は概ね順調であるという判断に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の目的をぶれずに遂行するつもりである。現在当研究者はイスラエルのWeizmann研究所のY.Oreg教授らと研究をおこなう予定である。(既にWeizmannには訪問済み)主にMajoranaフェルミオンの一般系である、パラフェルミオンのとそのフェルミオンがもたらす新奇な物理現象についての研究を行う予定である。今後Skype等で連携を取りながら研究を進めていく予定である。
またトポロジカル物質のエッジ状態はボゾン化法というもとより超弦理論で生まれた理論で記述できることが知られている。当研究者はトポロジカル物質のエッジ状態に、物性と高エネルギーの物理の垣根を越えた”Universal”な性質を見出すために現在超弦理論やゲージ理論など高エネルギーの物理の学習を行っており、これからも行うつもりである。
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Research Products
(4 results)