2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15J00565
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
戎 弘実 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | parafermion / 分数量子ホール系 |
Outline of Annual Research Achievements |
分数量子ホール系は魅惑的で深遠な性質を持っていることから世界中で熱心に研究がなされてきた。特に以下の性質が多くの人々の関心を惹きつけている:(i)分化された電荷(anyon)の出現。(ii)局所的な秩序変数ではなく、系全体のグローバルな秩序の形成(これをトポロジカル・オーダーという)(iii)系のバルクではエネルギーギャップが開いているのに対し、系の端ではギャップレス状態が現れる。(以下これをエッジ流と呼ぶ。) (iii)のエッジ流は1次元系の電子系として扱われ、これまでこのエッジ流を理論的に解析することによりノイズや干渉系の実験的研究との協力の元で実際の分数量子ホール系の端では上記の(i)の分化した電荷の存在はあると確かめられている。実はこのエッジ流は(ii)で述べたトポロジカル・オーダーとも密接に関わっており、このエッジ流こそが分数量子ホール系を理解するうえで欠かせない存在になっている。さらに最近の研究でこの分数量子ホール系のエッジ流からparafermionと呼ばれるエキゾチックな粒子を作れるという提案がされた。
当研究者はWeizmann研究所のYuval Oreg教授とグループのメンバーと議論をしてparafermionというエキゾチックな粒子についての研究を進めた。具体的にはν=2/3などのneutral modeがある分数量子ホールの系で上記のようなparafermionを作ることを考え、Josephson電流の周期性からneutral mode特有の情報を引き出すことを目的に研究を行った。得られた結果としてより多彩なparafermionについて明らかにしたこと、特異なJosephson電流が流れることを示し、一般に実験で測定が難しいとされるneutral modeとの対応関係も得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究者が当初掲げていたトポロジカル物質のエッジ状態から新しい物理を探索するという目的は達成されつつあるから。実際parafermionは量子コンピュータへの応用も考えられており、非常に魅力的で今後が期待できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もWeizmann研究所のメンバーと連携をとりながら研究をすすめる。今後はエッジ状態から現れる新奇なゼロモードがどのように量子コンピュータに使えるのか、といった観点からも研究を進める予定である。
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