2015 Fiscal Year Annual Research Report
炭素繊維強化熱可塑性プラスチックの電気式融着手法の開発と融着メカニズムの解明
| Project/Area Number |
15J00687
|
|---|
| Research Institution | Osaka University |
|---|
Principal Investigator |
田邉 大貴 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
| Keywords | 炭素繊維強化熱可塑性プラスチック / 熱可塑性CFRP / 融着接合 / 電気式融着接合 / 抵抗融着 / 引張せん断強度 / 開繊炭素繊維 / CF/PPS |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は，繊維強化プラスチック（FRP）の中でも電気自動車や産業機器分野への適用拡大が期待される炭素繊維強化熱可塑性プラスチック（熱可塑性CFRP）の融着接合技術に着目し，種々の形態を有する炭素繊維製の抵抗発熱体に電圧を印加することによって生じるジュール発熱を利用した電気式融着手法を新たに開発し，印加電圧や印加電流および通電時間等の種々の融着パラメータが融着挙動および接合強度に及ぼす影響を調査し，その複雑な融着メカニズムを解明することを目的とする．この研究目的を達成するために，①炭素繊維を用いた抵抗発熱体の開発，②融着条件の適正化，③接合強度の向上と強度発現メカニズムの解明および④融着メカニズムの解明の4つの研究課題項目に分類し，研究を実施する．
申請者がこれまでに行ってきた単一および複数のニクロム線等の金属細線を用いた熱可塑性CFRPの電気式融着手法では，融着面に金属製の抵抗発熱体が異材として残留するため，接合強度やリサイクル性の低下が課題となる．そのため，平成２７年度では炭素繊維束や開繊炭素繊維シート等の種々の形態の炭素繊維を抵抗発熱体として新たに適用し，印加電圧や印加電流，通電時間等の融着パラメータが融着挙動および接合強度に与える影響を実験的に調査した．その結果，炭素繊維束を抵抗発熱体に用いた場合では，引張せん断強度が金属製の抵抗発熱体と比較して大幅に向上した．また，開繊炭素繊維シートの繊維方向を引張方向に配置した場合では，引張せん断強度が約30MPaを達成し，大幅に接合強度を向上することに成功した．
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の目標である①炭素繊維を用いた抵抗発熱体の開発，②融着条件の適正化，③接合強度の向上と強度発現メカニズムの解明を達成し，炭素繊維を抵抗発熱体として用いることで，期待以上の接合強度を発現できたため．
|
| Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究成果を踏まえて，炭素繊維を抵抗発熱体として用いた融着試験片の接合強度や強度発現メカニズムを調査するために，非接触式三次元ひずみ分布計測装置で観察しながら，引張せん断試験や曲げ試験を行う．動的なひずみ分布計測を行うことで，種々の抵抗発熱体が融着部に与える影響を解明し，高強度信頼性に優れた融着手法の確立を目指す．また，提案する融着手法の大型部材への適用可能性を調査するため，融着試験片の形状アスペクト比が融着挙動に与える影響を実験的に調査する．一方で，抵抗発熱体や融着対象物の異方性を考慮した融着部の強度解析を行い，実験で得られた強度特性の妥当性を評価する．また，融着部の伝熱挙動等を数値解析ソフトを用いて評価し，実験結果と比較しながら熱可塑性CFRPの電気式融着メカニズムを明らかにする．
|
