2015 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ先住民による近代的ネーションの建設と合衆国連邦体制内におけるその位置づけ
Project/Area Number |
15J00713
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
岩崎 佳孝 立教大学, 社会学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 先住民ネーション / 連邦体制 / 先住民主権 / アメリカ先住民 / カナダ先住民 / メイティ / ボーダーランズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、連邦体制をとる近現代国家に「認定」された先住民主権体「ネーション」、あるいはなんらかのかたちで「先住民」としてのアイデンティティを有しつついまだ「認定」を得られないエスニック・マイノリティ集団、これら両者の形成と構築、そして連邦内における実体を、歴史的に考察する。そこではアメリカ合衆国の事例を、カナダ、ないしは両国を縦断する「ボーダーランズ」における「先住民」集団(とくに先住民と白人の「混血」集団「メイティ」)の事例と比較しながら、それらの集団の歴史的な内外からの成員認識 /規定の変遷の分析を軸に、上記の研究課題の考察を行う。 本年度は上記の目的に沿って、研究上、とくに海外調査実施の基盤となる、PC等の機材の入手、さらに史料の購入と精読を行うと共に、研究者との当該研究に係る学術的交流と史料の獲得を主たる目的とした、二回の海外調査を行った。先ず11月のカナダでは、アルバータ大学、オタワ大学、そしてカールトン大学の研究者と面談し、貴重な助言と史料提供を得た。また各機関で史料の収集も実施した。続く2月の合衆国でも同様に、モンタナ、サウス・ダコタ両州の研究者と面談し、貴重な助言と史料の提供を得た。またモンタナ歴史協会やサウス・ダコタ州立大学でも史料の収集を実施した。またオクラホマ州では、先住民チカソー・ネーションにおいて史料収集を実施し、さらに当該研究と直接関係のある内容をもつ、研究代表者が2014年3月に大阪大学に提出した博士論文を、同ネーション資料館に贈呈し、その寄贈式に参列した。 その一方、10月の広島史学研究会創立85周年記念大会(広島大学)および12月大阪大学西洋史学研究室ゼミ(12月)では、その時点での研究成果の中間報告を行い、各方面の研究者からの助言を得て、研究に必要な修正を加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
合衆国およびカナダで、多くの著名な研究者の知己を得ることで、貴重な助言、情報、史料の提供や、将来に及ぶ研究への協力や共同研究のネットワークを構築した。 また、オクラホマのチカソー・ネーションでは、研究代表者の研究が評価を受け、出来るだけ早い段階での英語での研究成果公表を要望された。また、来年度秋に実施予定である、同ネーションが19世紀中葉にオクラホマ州に強制的に移住させられる以前に居住していた合衆国南東部地域の調査ツアーに招へいされた。 以上のことは今後、研究代表者が独力で行うよりも遥かに貴重な知見を得ることを可能にし、今後の研究を一層進展させ、社会に成果を公表する上で大きな益となることが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究計画調書」に記した通り、研究に必要な機材入手や史料の購入と共に、引き続き合衆国、カナダ両国への渡航調査を行い、研究を深化、発展させる。 また、国内での学会報告(6月に「歴史家協会大会」での報告が決定済)や大阪大学西洋史学研究室ゼミ(5月に報告を行うことが決定済み)での研究報告によって、研究成果を公開すると共に、その内容の確認と修正を行う。 同時に、28年度に予定する国内学術誌への投稿(現時点では『パブリック・ヒストリー』もしくは『西洋史学』を予定)ないしは学術書の出版に加え、28年度から29年度に博士論文の英語への翻訳や海外学術誌への投稿による海外での研究成果公表を行うための準備を行う予定である。
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Research Products
(3 results)