2017 Fiscal Year Annual Research Report
Insight into the Adaptive Evolution and Diversification in Erpobdelliformes
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15J00720
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中野 隆文 広島大学, 教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 系統分類 / ヒル類 / 分子系統 / アジア / 新規形質 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は3年間の研究課題のまとめとして,これまでに得られた研究成果の論文化を行った.加えて捕食性ヒル類にみられる特殊な形態形質「胃通管」の機能を明らかにした. 先ず,東南アジア産イシビル形亜目捕食性ヒル類の分類学的位置,ならびにそれらの系統関係を推定し,本亜目における進化史の再推定を行った論文を国際学術雑誌発表した.同論文では,分子系統解析の結果に基づき,東南アジアに分布するイツウコウビル類は,胃通管を有する系統と,胃通管をもたない系統に分かれることを明らかにした.さらにイツウコウビル類は全北区に広く分布する淡水棲捕食性ヒル類のイシビル科と姉妹群になるという結果が得られた. 胃通管については,東アジアに生息するクガビル類の胃通管が「二次的生殖器官」であることを初めて明らかにした.胃通管は胃に接続する管状構造で,その管は腹側に開口するのだが,その機能は長らく不明で,「二次的な肛門」あるいは「二次的な生殖器官」であろうと考えられてきた.四国より得られたクガビル類の1未記載種の胃通管内に半透明のカプセルが詰まっていることを発見した.したがって,そのカプセルが何であるかを特定するために,透過型電子顕微鏡(TEM)によるカプセル内容物の微細構造観察を実施した.TEM観察したところ,ヒル類の精子に特徴的な形質状態が認められたため,得られたカプセルはクガビル類の「精包」であると断定できた.したがって,クガビル類の「胃通管」は「二次的生殖器官」であると結論づけ,国際学術雑誌にその研究成果を発表した.ヒル類の生殖様式における祖先形質状態は,「精包」を皮膚に植え付ける様式で,これら生殖様式は淡水棲,海産のグループにおいて見られる.しかしながら,クガビル類は陸棲の分類群であるため,クガビル類における胃通管は精包を受け取るために創出された新規形質ではないかと,同論文で議論した.
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(16 results)