2015 Fiscal Year Annual Research Report
水環境中の物質輸送予測の高度化に向けた非一様・非定常流中の凝集ダイナミクスの解析
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15J00805
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
杉本 卓也 筑波大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | コロイド / 凝集 / 水理 / 流れ場中の凝集速度 / 界面電気現象 / 電気的相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,水環境中の物質輸送予測の高度化を目指し,コロイド粒子の凝集に対する流れ場の動的影響を明らかにするために,非一様・非定常剪断流中でのコロイド粒子の凝集ダイナミクスを解明することを目的とする.採用初年度である当該年度は,流れ場中の凝集速度へのコロイド粒子間の電気的相互作用の影響を中心に研究した.当該年度の研究成果は,以下の通りである.
1. 水環境中でのコロイド粒子の輸送特性を評価・予測する上で,その凝集体の大きさが重要である.したがって,凝集体の形成ダイナミクスを特徴づける,流れ場中の凝集速度の予測精度の向上が重要となる.流れ場中の凝集速度への静電相互作用の影響を検討するために,これまで実験値との定量的な比較が十分に行われていなかった,静電相互作用の存在下での既存の凝集理論の妥当性を実験値との比較に基づき検討した.特に,粒子間の静電斥力を系統的に変化させた実験結果の理論解析を行い,理論値が実験値を定性的に表現できることを示した.
2. 実際の環境中では,同種粒子同士の凝集だけでなく,異なる粒子同士の凝集であるヘテロ凝集も重要となる.特に,異符号に帯電したコロイド粒子間のヘテロ凝集速度について,モデルコロイド粒子の表面電荷量の影響に着目した研究を行った.その結果,クーロン力から予想されるような表面電荷量の増大による引力の増大が,必ずしも凝集を促進しないことが,実験と理論の両面から示された.このことから,引力の大きさよりもその作用範囲が,ヘテロ凝集を促進する因子として重要であると結論づけた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同種粒子間の凝集だけでなく,異符号に帯電した粒子同士の凝集分散現象を,粒子の帯電状態と併せて,実験およびその理論解析に基づき検討できている.よって,研究課題の遂行は,順調に進んでいると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,当該年度の研究成果に基づき,今後の研究を展開していく.申請時の計画に基づき,非定常流中の凝集分散現象を研究するための実験系の構築に着手する.
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Research Products
(6 results)