2015 Fiscal Year Annual Research Report
異種界面制御に基づく窒化ガリウム系トランジスタの高安定化
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15J00919
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西口 賢弥 北海道大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 窒化ガリウム / 界面 / トランジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
GaN系トランジスタのデバイス動作安定性に大きな障害を与えている「電流コラプス」について評価を行った。電流コラプスは高いドレイン電圧印加時ならびにゲート-ソース間オフストレス印加後にオン抵抗の増加、ドレイン電流の減少が観測される現象である。GaN系デバイスを研究するうえで、電流コラプスを評価することは非常に重要であるため、デュアルゲート構造を用い、電流コラプス評価を行った。その結果、ソース側のゲート端近傍に表面帯電領域を仮定すると、ゲート直下のポテンシャルが変調し、キャリア密度が減少することが示された。以上の結果から、オフ状態ストレス印加による表面帯電領域形成が示唆され、電流コラプスのモデルの一つである「仮想ゲートモデル」を裏付けた。また、この帯電領域は、本実験条件では500nm以上の拡がりを持つ可能性があることを示した。 低損失インバータ用素子には、安全性の観点から、ノーマリオフ動作が求められる。正バイアス印加時のゲートリーク電流を抑制する必要もあることから、縦型GaN系トランジスタも注目されており、縦型構造GaN MOSFETが期待されている。 イオン注入および1100℃での活性化アニールを含むプロセスにより作製したGaN MOSFETの評価を行った。ドレイン電圧7Vでサブスレッショルド特性を評価すると、サブスレッショルドスロープ:SSの値が163mV/decであった。この値は大きく、ゲート制御性が良好ではないことを示している。高温活性化アニールがMOS界面特性に影響を与えた可能性を示唆している。その後、ゲート制御性向上をねらい400℃以下の低温で、数時間アニールを行った。その結果、SSの値が78mV/decと大きく向上し、低温・長時間アニールにより界面準位密度が低減したと考えられる。 今後は高温アニールが界面特性に与える影響について詳細に評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主目標は、AlGaN/GaN高電子移動度トランジスタ(HEMT)の電流コラプス評価、およびMOS型GaNトランジスタのゲート制御特性評価である。独自のデュアルゲート構造を持つAlGaN/GaN HEMTを作製し、ゲート近傍の表面帯電現象を解析した結果、オフ状態ストレス印加による表面帯電が確認され、その領域が500nm以上の拡がりを持つことを明らかにした。次に、イオン注入および1100℃での活性化アニールを含むプロセスにより作製したGaN MOSFETの評価を行った。低温・長時間アニールにより、サブスレッショルドスロープが大幅に改善し、このプロセスがMOS界面の電子準位を低減する効果があることを見いだした。以上より、GaN系トランジスタの動作安定化に向けて、貴重な基礎的知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、高温アニールプロセスが、MOS界面特性に与える影響について詳細に評価する。 また絶縁膜/半導体界面特性が、低温・長時間アニールを施すことで回復・向上することが我々の研究から分かっている。そこで、高温アニールプロセス後に、どの程度低温・長時間アニールにより絶縁膜/半導体界面特性が回復するのか詳細な評価を行う。 この結果より得られた知見を、電界効果トランジスタの電流-電圧特性の評価・向上につなげる。
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Research Products
(2 results)