2017 Fiscal Year Annual Research Report
新規な非対称型二核遷移金属酸素錯体の創成と不活性基質の効率的酸化反応触媒系の開発
Project/Area Number |
15J00957
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 司 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 炭素-炭素結合形成反応 / 単核銅(II)スーパーオキソ錯体 / 求核的な反応性 |
Outline of Annual Research Achievements |
炭素-炭素結合形成反応は有機化学における最も重要な反応の一つである。これまで銅を触媒とするカルボニル化合物の炭素-炭素結合形成反応が報告されていたが、銅触媒の役割は、カルボニル化合物の求核性を向上させるためのルイス酸としての機能のみが着目されてきた。 そこで本研究では、8員環ジアミン骨格にピリジルメチル側鎖を有する配位子L8Pymを用いて銅(I)錯体と分子状酸素との反応によって生成する単核銅(II)-スーパーオキソ錯体が、炭素-炭素結合形成反応の触媒となることを明らかにした。 アセトン中、-95度で銅(I)錯体と分子状酸素との反応により単核銅(II)エンドオン型スーパーオキソ錯体が得られた。低温条件下で生成したスーパーオキソ錯体とパラ位に電子供与基もしくは電子吸引基を有するベンズアルデヒドとの反応を紫外・可視吸収スペクトルを用いて直接追跡したところ、ハメットプロットの傾きからスーパーオキソ錯体は求核的な反応性を示すことが分かった。反応後の生成物から溶媒であるアセトンとの炭素-炭素結合により形成されたアルドール化合物が得られた。 続いて、触媒系の構築を試みた。アセトン溶媒中、ベンズアルデヒドを基質として用いて30度で反応させると、5時間後74%のアルドール化合物が得られた。この反応は、他のカルボニル化合物の反応へも適用可能であった。また芳香族アルデヒドだけでなく、脂肪族アルデヒドにおいても速やかな反応の進行が確認された。また、アセトンの代わりにニトロアルカン中で反応させた場合にはニトロアルドール生成物が得られた。 以上のように、求核的な反応性を示す単核銅(II)スーパーオキソ錯体を合成し、カルボニル化合物に対して触媒的な炭素-炭素結合形成反応をすることを明らかにした。これは、単核銅(II)スーパーオキソ錯体が触媒的にアルドール化合物を生成することを示した初めての例である。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Tetrahedral Copper(II) Complexes with a Labile Coordination Site Supported by a Tris-tetramethylguanidinato Ligand2017
Author(s)
Ikuma Shimizu, Yuma Morimoto, Dieter Faltermeier, Marion Kerscher, Sayantan Paria, Tsukasa Abe, Hideki Sugimoto, Nobutaka Fujieda, Kaori Asano, Takeyuki Suzuki, Peter Comba, and Shinobu Itoh
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Journal Title
Inorg. Chem.
Volume: 56
Pages: 9634-9645
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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