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2016 Fiscal Year Annual Research Report

ナノDNAワクチンを基盤とした樹状細胞エンジニアリングと難治性癌治療への展開

Research Project

Project/Area Number 15J01221
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

三浦 尚也  北海道大学, 生命科学院, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2015-04-24 – 2018-03-31
Keywords樹状細胞ワクチン / ナノ粒子 / 遺伝子導入 / 腫瘍内慢性炎症 / デキサメタゾン
Outline of Annual Research Achievements

樹状細胞ワクチンは、抗原特異的な免疫応答に重要な役割を持つ「樹状細胞」を用いて、人為的に抗原特異的免疫を誘起する技術である。申請者は現在までに、樹状細胞に対し、効率的に抗原遺伝子導入・免疫活性化を可能とするDNA封入ナノ粒子の開発に成功している。平成28年度においては、より効率的な抗原導入を可能とするナノ粒子の開発を試みた。また、腫瘍内免疫抑制機構の1つである慢性炎症環境を改善するため、デキサメタゾン搭載ナノ粒子の開発をおこない、腫瘍内炎症環境改善効果の検証をおこなった。
以前より樹状細胞への遺伝子導入に用いていた、KALAペプチド修飾多機能性エンベロープ型ナノ構造体(KALA-MEND)は、リポソーム内にpDNAを内封し、その表面にαヘリックス構造を有するKALAペプチドを修飾していた。しかし本システムでは、ヒト臨床において用いられている抗原(実弾抗原)に対するin vivo抗原特異的免疫応答の誘導は達成できなかった。そこで、より効率的に遺伝子を導入可能な核酸搭載ナノ粒子を設計し、オボアルブミン(OVA)遺伝子を樹状細胞へ導入したところ、従来システムに比べて効率的な抗原提示を誘導する事に成功した。
近年、腫瘍局所において、がん細胞に対する免疫が抑制されている事が明らかとなった。腫瘍内慢性炎症環境はその要因の1つであり、がん細胞自身や浸潤免疫細胞による炎症が、腫瘍免疫環境の変化を引き起こしている。そこで私は、腫瘍内慢性炎症の解消を通して、樹状細胞ワクチンの効果を更に高めるため、ステロイド系抗炎症薬の1つであるデキサメタゾンの誘導体を搭載するナノ粒子を開発した。本ナノ粒子をOVA発現リンパ腫担癌マウスへ静脈内投与することで、腫瘍組織における炎症性サイトカインやマクロファージマーカー、血管新生促進因子受容体のmRNA発現量を低下させる事に成功した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成28年度においては、本研究の基盤となる樹状細胞への遺伝子導入に関して、従来用いていたKALA-MENDよりも、効率的な遺伝子導入をおこなう事に成功した。また、樹状細胞からの抗原提示、及びin vivoにおける抗原特異的免疫の誘導の増強にも成功した事から、本研究が順調に進展していると考えられる。また、腫瘍内慢性炎症環境をターゲットとした、デキサメタゾン誘導体搭載ナノ粒子の開発にも成功し、mRNA発現レベルではあるが、腫瘍内の炎症性サイトカインやマクロファージ浸潤の減少を達成した。これらの結果は、がん免疫療法の両輪を担う、抗原特異的免疫の誘導と腫瘍内免疫抑制機構の改善を達成する技術となり得るものである。最終年度である平成29年度における併用効果の検証の基盤となる技術の開発に成功した事からも、本研究が順調に進展していると言える。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の推進方策としては以下の2点を想定している。
1. 平成28年度において開発した、効率的な遺伝子導入を可能とする核酸搭載ナノ粒子を用いて、抗原性が高いモデル抗原(OVA)のみではなく、ヒト臨床において用いられている抗原(実弾抗原)に対するin vivo抗原特異的免疫応答の誘導を試みる。その際には、樹状細胞活性化のため、アジュバントの添加をおこなう事で、より効率的な免疫応答の誘導を試みる。実弾抗原に対する免疫応答の誘導が達成されたのちは、本抗原を発現する大腸がん細胞腫瘍に対する治療的な抗腫瘍効果の検証を試みる。
2. 平成28年度において開発したデキサメタゾン誘導体搭載ナノ粒子を投与した際の、腫瘍内慢性炎症環境の変化を、より詳細に検証する。具体的には、腫瘍内や腫瘍に直接連絡するセンチネルリンパ節における、免疫細胞のポピュレーション評価をおこなう。更に、1.で開発を進めている、効率的な遺伝子導入を達成する核酸搭載ナノ粒子により、抗原遺伝子を導入された樹状細胞と併用した際の抗原特異的免疫の評価や、抗腫瘍効果についても検討をおこなう。初めはモデル抗原であるOVAを用いた検証をおこない、併用効果を得る事に成功した場合は、実弾抗原系を用いた検証を進めていく。最終的には、大腸がん腹膜播種等の転移モデルに対する抗腫瘍効果の実証を試みる予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] Modifying Antigen-Encapsulating Liposomes with KALA Facilitates MHC Class I Antigen Presentation and Enhances Anti-tumor Effects2017

    • Author(s)
      Naoya Miura, Hidetaka Akita, Naho Tateshita, Takashi Nakamura, Hideyoshi Harashima
    • Journal Title

      Molecular Therapy

      Volume: 4 Pages: 1003-1013

    • DOI

      10.1016/j.ymthe.2017.01.020

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2018-01-16  

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