2015 Fiscal Year Annual Research Report
身体・認知統合型デジタルヒューマンによる大規模実環境の高度アクセシビリティ評価
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15J01552
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
丸山 翼 北海道大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 環境アクセシビリティ評価 / デジタルヒューマン / 歩行シミュレーション / 経路探索シミュレーション / Structure-from-Motion / 視覚シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
課題(1)「意味属性付き実環境モデル自動構築機能の開発」について:当初は3次元レーザ計測点群からサイン(案内板)の自動認識技術の開発を予定していた.しかし,研究を進めていく中で,本技術の応用目的である環境の経路発見の容易性向上のためのユーザによるサインの再配置作業を支援するには,高品質なテクスチャを持つ実環境モデル(建物の内観と既設サインを表す3次元モデル)が必要不可欠であることが判明した.そこで,研究計画を一部変更し,写真集合からの3次元モデル構築技術であるSfM(Structure-from-Motion)を用いて,高品質なテクスチャ付きの実環境モデルを半自動構築可能な技術を提案した.さらに,構築されたサインのモデルに対し,その意味属性である経路指示情報や視認性情報をユーザが対話的に編集可能な技術を開発した. 課題(2)「Digital Human(DH)の疑似視覚シミュレーションの開発」について:課題(1)の成果より得られた実環境モデル上でDHが疑似視覚に基づき環境中のサインの視認性・可視性を推定し,自律的に経路探索を行える技術を開発した.提案技術により,簡単な屋内環境においてサインの配置不足による「迷い」箇所(経路発見の容易性が優れていない個所)を自動検出可能であることを確認した.さらに,ユーザによるサイン再配置作業の支援のために,視力低下や周辺視野の感度低下を反映したDHの疑似視覚を,ユーザがヘッドマウントディスプレイを通じて確認可能なVRシステムを開発した. 研究成果発表について:H26年度までの研究成果をまとめ,国際会議(HCII 2015)で発表した.さらに,学術雑誌(Journal of Computational Design and Engineering)に論文を投稿し,採択された.課題(1),課題(2)の成果については,査読付き国際会議(ASME2016 IDETC/CIE)にフルペーパーを投稿し,採択された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題(1)について:研究計画の一部変更はあったものの,対話的にサインの持つ意味情報を編集可能な技術を開発し(成果(1)),さらに,SfMを用いて実環境の写真集合から高品質なテクスチャ付き実環境モデルを半自動構築可能な手法を提案した(成果(2)).成果(1)と成果(2)を用いて,年度目標であった意味属性付き実環境モデル(建物の内観と既設サインを表すモデル)を半自動構築可能な技術を実現した(成果(3)).以上より,年度目標を達成できた. 課題(2)について:DHの疑似視覚に基づき,サインの可視・視認性を評価可能な技術を開発した(成果(4)).さらに,この疑似視覚に基づく経路探索シミュレーションにより,環境中の経路発見容易性を評価可能な技術を開発した(成果(5)).また,視力低下や周辺視野の感度低下を反映したDHの疑似視覚を,ユーザがヘッドマウントディスプレイを通じて確認可能なVRシステムを構築した(成果(6)).今後,成果(4)~(6)を組み合わせた,視力低下や周辺視野の感度低下を反映したDHの疑似視覚に基づく経路探索シミュレーション技術への拡張が必要であるが,この点を除いて年度目標を概ね達成できた. 研究成果発表について:年度目標であった,H26年度の研究成果の国際会議(HCII2015)での発表,および学術雑誌(Journal of Computational Design and Engineering)への論文投稿は達成できた.課題(1),課題(2)の成果については学術雑誌への論文投稿を予定していたが,計画の一部を変更し,学術雑誌への推薦がある査読付き国際会議(ASME2016 IDETC/CIE)へのフルペーパー投稿を行い採択された.従って,研究成果に関する年度目標を概ね達成できた. 以上の理由により,概ね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度課題(1) 「視力低下や周辺視野の感度低下を反映したDHの疑似視覚に基づく経路探索シミュレーション技術の開発」について:H27年度に開発した技術(成果(1)~(3))を組み合わせ,本課題の解決を目指す.さらに,開発した経路探索シミュレーション技術の妥当性・有効性の検証を目的に,シミュレーションにより推定されたDHの経路探索行動と,実際の人間の経路探索行動の比較実験を行う. 次年度課題(2) 「身体・認知の両面を統合した観点からの実環境の快適性評価機能の開発」について:本課題については,研究計画を一部変更し,身体的観点については快適性評価の代わりに安全性評価を実施する.身体的観点からの実環境の安全性評価の実現のため,開発済みの環境中の潜在的なつまづきリスク評価技術の妥当性検証実験を実施し,必要に応じてその機能拡張を行う.また,認知的観点からの快適性評価機能として,次年度課題(1)の成果を用いて,視力低下や周辺視野の感度低下を考慮しつつ環境中の経路発見の容易性を評価可能な技術の開発を行う.
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Research Products
(6 results)