2016 Fiscal Year Annual Research Report
重力マイクロレンズ法によるM型星周りの地球質量~恒星質量までの伴星の存在量の制限
Project/Area Number |
15J01676
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
越本 直季 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 重力マイクロレンズ / 太陽系外惑星 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は銀河系内で最も一般的な星であるM型星周りにおける地球質量から恒星質量の伴星(惑星)の存在量を見積もり、星・惑星両方の形成論に制限を与えることである。 制限にはサンプル数が重要になるが、重力マイクロレンズ法で見つかった惑星系はまだサンプルが50例程度と少ない。そのサンプル数を増やすために5月に1ヶ月弱、ニュージーランドのMt.John天文台に滞在して、重力マイクロレンズ現象の観測を行った。その間に、重力マイクロレンズイベントMOA-2016-BLG-227の観測データに惑星による増光の兆候が見られることをリアルタイムで発見、世界中の共同研究者らに追観測を促し、惑星シグナルを十分にカバーすることができた。 また、上記の惑星イベントの解析を行い、その質量や軌道長半径といったパラメーターを決定した。解析を通して、従来為されていた、イベントに混じる他の星の明るさの寄与(コンタミ)の見積もり方の問題点に気付き、レンズ天体の明るさの確率分布をベイズ解析を用いて求めるという新たな手法を考案した。その結果、コンタミの可能性を排除することは従来期待されていたよりも難しいということを明らかにした。さらに、その手法を過去に解析されたイベントにも適用したところ、先行研究で仮定された、撮像データに混じるコンタミが少ないという仮定は間違っており、結果得られるレンズ天体の質量が大きく異なるということを明らかにした。このコンタミの問題は、2020年代の宇宙望遠鏡による高空間分解能重力マイクロレンズサーベイの時代においてもなお、問題となりうるため、考案した新たな手法は本研究分野において非常に有用である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の最終目的であるM型星周りにおける地球質量から恒星質量の伴星(惑星)の存在量の見積もりという点では、まだ時間がかかりそうである。しかし、上記に書いたように、存在量を見積もるための元のデータとなる、各天体のパラメーターの従来の決定方法の深刻な問題点を発見し、それを改善することができたため、研究分野におけるより根本的な部分に貢献することができた。これにより、最終的により信頼度の高い結果を出すことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
惑星のサンプル数を増やすことおよびそのパラメーターの制限を継続して行う。 目的である惑星系と連星系の存在量の見積もりを行う。
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Research Products
(11 results)