2015 Fiscal Year Annual Research Report
粉末状の水素化ホウ素ナトリウムを水素燃料とする燃料電池自動車の開発とその評価
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15J01887
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
友田 圭祐 東京理科大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 水素生成速度モデル / 触媒方式の決定 / 温度に依存したPIゲイン設定 / 複合電力回路制御法 |
Outline of Annual Research Achievements |
燃料電池自動車(FCV)の水素貯蔵法は高圧水素タンクが主流である。しかし、この方式は水素エネルギーの体積密度が低く,輸送・販売に係るインフラ整備が必要である。この問題に対し,高い水素密度を持ち,インフラ整備費の抑制が期待できる粉末状の水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を水素源とし,加水分解反応により車上で水素を高速生成する水素供給燃料電池システム(STEPS)を提案している。これまでに、このSTEPSを車載した自動車により、継続的な走行を達成した。しかし、本反応は化学反応を伴うため、高出力化と応答性に課題があり、燃料電池(FC)への供給圧力の変動が大きい。そこで今年度は、以下に示す指針の下、成果を出した。 ①新触媒方式の決定: 触媒方式を複数検討した結果、ラネーニッケルが最良という結論となり、粒径及び使用量を②で開発したモデルを用いることにより決定した。 ②シミュレーションモデルの構築・新水素量制御法の検討: 水素生成及び水素量制御法を最適検討するため、シミュレーションモデルを構築した。具体的には、反応速度式の実験式を独自に導出し、温度と使用触媒の総表面積を関数としてFCへの供給圧力を推定するモデルを構築した。このモデルにより、使用触媒の粒径や使用量の決定や、燃料投入速度の制御における温度に依存したPIゲインを検討でき、従来採用していたON/OFF制御時と比較し水素圧力の制御性向上を確認した。また、本研究助成金における2年目の目標である車両モデルとの連成を先行して実施し、車速を関数として各部電力や水素圧力を高精度に推定可能とした。さらに車両の電源として、FCと電気二重層キャパシタ(EDLC)を用い、速い周波数帯の負荷変動をEDLCが補う制御(複合電力回路制御法)を適用することで、走行試験時の最大圧力振幅を本制御未実装の場合と比較して78%低減させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの水素圧の制御では、圧力が許容範囲に入るようにオンオフ制御を行っていた。しかし、化学反応を伴った制御であるため、圧力変動幅が大きくなってしまう難点があった。方策として、提案水素生成器における水素生成反応のモデルを作成し、そのモデルにより制御則を導出することで制御することが考えられる。これにより制御則を導出し制御を行った結果、オンオフ制御時に比べて圧力変動幅を低減することができた。これに関して期待以上の進展があったのは、燃料電池で定期的に生じるパージをモデルに組み込むことができた点と、反応温度により制御ゲインを変化させる点を考案し、発展させることができた点であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、まず既存のSTEPSの水素生成モデルを発展させ、反応場の温度変化を推定できるモデルを開発する。そして、水素圧力変動抑制の更なる高性能化をめざし、温度推定可能なSTEPSモデルを用いて、燃料投入速度のPIゲイン設計を行う。具体的には、反応場の温度条件に依存した最適なゲインに自動で調節する制御器や、燃料電池の発電量より制御するフィードフォワード制御器などを検討し、走行実験などでそれらの制御器の評価を行う。
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Research Products
(9 results)