2015 Fiscal Year Annual Research Report
主観的な時間経験の変容に関わる脳内メカニズムの解明
Project/Area Number |
15J02216
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 正道 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(SPD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 時間知覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. ヒトの下頭頂小葉と呼ばれる脳領域には、数百ミリ秒の時間の長さ(時間長)に対して選択性をもつニューロン群が存在する可能性が示唆されている(Hayashi et al., 2015 PLoS Biology)。しかしながら、この研究で用いられた反復抑制法と呼ばれる手法には幾つかの限界点があり、これらの問題点を克服したアプローチによるさらなる裏付けが必要であった。そこで我々は、多変量パターン解析と呼ばれる手法を用い、下頭頂小葉が時間長の情報を保持しているかを検討した。研究成果の一部について、神経科学大会において発表を行った。
2. 時間感覚は、ある特定の時間長の刺激への順応により伸縮することが示されている。そこで本研究では、時間長への順応による主観的時間長の変容に関わる神経基盤を明らかにするため、まずは先行研究(心理物理実験)の結果を脳機能画像研究により適した実験パラダイムで再現可能かを検討した。現在は実験パラメータのさらなる最適化を進めており、準備が整い次第、fMRI実験に移行する予定である。
3. 時間感覚には大きな個人差があり、その一因として抑制性神経伝達物質であるGABAの濃度の個人差との関係が指摘されている。そこで本研究ではMRスペクトロスコピーと呼ばれる手法を用い、時間長の弁別能力と脳内GABA濃度の相関関係について検討を進めている。現在GABA濃度の計測を順次実施中であり、計測が終った被験者から順次心理物理実験のデータを取得していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に加えて、当該研究課題に密接に関係する二つの研究を並行して進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題は、まず研究実績の概要に示した1. の研究に関して論文化を進めることである。2. に関しては早期に脳機能画像計測に移行し、神経基盤の特定を進める。3. については順次データ取得を進め、完了次第、データ解析を行う予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] 自閉症スペクトラム症における顔認知・身体認知に関与する視覚領域の発達遅延2016
Author(s)
岡本悠子, 小坂浩隆, 北田亮, 関あゆみ, 田邊宏樹, 林正道, 河内山隆紀, 齋藤大輔, 谷中久和, 棟居俊夫, 石飛信, 大森晶夫, 和田有司, 岡沢秀彦, 小枝達也, 定藤規弘
Organizer
第18回日本ヒト脳機能マッピング学会大会
Place of Presentation
京都大学桂キャンパス船井哲良記念講堂(京都府京都市)
Year and Date
2016-03-07 – 2016-03-08
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