2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J02254
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
千葉 拓也 北海道大学, 生命科学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 構造活性相関研究 / 固相合成 / 癌細胞標的化 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、私はシリンゴリンAの側鎖部を変換した誘導体の合成を行った。Pirrungらの合成法を基にシリンゴリンAの12員環骨格部を合成した。また側鎖部を固相合成法を用いることでパラレル合成した。続いて12員環骨格と側鎖部を脱水縮合反応することで各種誘導体を約30種類程度合成した。そしてその誘導体のヒト癌細胞に対する細胞増殖抑制活性を測定した。その結果、シリンゴリンAの構造活性相関について深い知見を得ることができ、最適な側鎖構造を見出すことができた。 次にシリンゴリンA誘導体に対して、癌細胞への選択性を付与するために、標的化分子との複合体を合成することとした。標的化分子としては、前立腺癌特異的に存在する膜抗原(PSMA)に対するリガンド(PSMAリガンド)を用いることとした。また、シリンゴリンA誘導体とPSMAリガンドを連結するリンカーとしては、リソソーム内のカテプシンBという酵素で切断されるバリン-シトルリンのリンカーを用いることとした。はじめに、シリンゴリンAをリンカーと連結するために、側鎖部に極性官能基であるアミノ基を有するシリンゴリンA誘導体の合成を行った。先述した構造活性相関研究で最適であった側鎖に対して、末端部または内部にアミノ基を導入した誘導体を合成し、そのプロテアソーム阻害活性を測定した。その結果、末端部にアミノ基を有する誘導体は、アミノ基を有さない誘導体と比べると若干プロテアソーム阻害活性が低下するものの、依然として強い活性を有することが明らかとなった。そこで、その誘導体を用いてシリンゴリンA誘導体-PSMAリガンド複合体の合成を行うこととした。PSMAリガンドとリンカー部は固相合成法を用いて合成し、シリンゴリンA誘導体とのカップリングを行うことで、シリンゴリンA誘導体-PSMAリガンド複合体の保護体を得た。現在は、最後の脱保護条件の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究にて、シリンゴリンAの構造活性相関研究を行うことで、最適な側鎖部の構造を見出すことができた。その上、側鎖部にアミノ基を導入した誘導体の合成も行い、プロテアソーム阻害活性を保持することを確認した。さらに、その化合物を用いて癌細胞標的化をねらった化合物の保護体まで合成した。当初の予定では、一年目は側鎖部の構造活性相関研究を行うのみの予定であったため、おおむね順調に研究が進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず癌細胞標的化したシリンゴリンA誘導体-PSMAリガンド複合体の合成を行う予定である。合成が完了し次第、まずカテプシンBという酵素でリンカー部が切断されるかどうかを調べる。また、PSMAが高発現した癌細胞に対して、シリンゴリンA誘導体-PSMAリガンド複合体の有効性についても調べる。さらに蛍光ラベル化した誘導体やカテプシンで切断されないリンカーを有する化合物を用いてアッセイを行うことで、シリンゴリンA誘導体-PSMAリガンド複合体の活性発現のメカニズム解析を行う予定である。
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Research Products
(4 results)