2016 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質デザイン実験と理論計算による膜タンパク質のフォールディング原理の研究
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15J02427
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
佐久間 航也 総合研究大学院大学, 物理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | タンパク質デザイン / αヘリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) all-αタンパク質に対するアミノ酸配列デザイン法の改良 まず、計算機上で大量に生成された90残基程度の主鎖構造から、可溶性球状タンパク質として構造を取る可能性が高いと考えられるものを選別した。これに対し計算機上で側鎖をデザインし、10種のアミノ酸配列を選択した。これらのアミノ酸配列は天然には相同な配列が存在しないことを確認した。 (2) デザイン配列の示す物性の実験的検証 これら10つのデザイン配列を、実験的に発現・精製した。質量分析により望みのアミノ酸配列が得られていることを確認した後、CDにより二次構造の形成を確認した。結果、すべての配列がα構造に富む構造を取ることが確認され、二次構造レベルではデザインに成功していることが明らかになった。次に、SEC-MALSによって8つの配列が単量体として安定に存在していることが判明した。そのうち少なくとも6配列は、特定の3次構造を安定にとっていることが二次元NMR測定を行うことによって明らかになった。これらの配列は、標的とした三次構造を実現していることが期待されるため、立体構造の解析に向けて実験を進めている。 (3) さらなる構造デザインと巨大タンパク質のデザインに向けた手法開発 上述の配列設計・デザイン・実験と並行して、さらに大きなタンパク質の主鎖デザインも進めた。結果、110残基程度のall-α主鎖構造を網羅的に生成することに成功し、それらのうち幾つかについては計算機上でアミノ酸配列デザインを行い、望ましい結果を得ている。さらに、開発した主鎖構造デザイン方法を応用することで、より巨大な(-500アミノ酸残基程度)の球状主鎖構造を得ることにも成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
130残基程度以下のall-αデザイン手法については、核となる部分については完成した。実験的検証についても、代表例として選んだ構造について、可能な生化学的実験は全て完了し、構造解析を残すのみである。この他にも多数のデザイン構造が得られているので、これらに対してどこまで徹底的に実験的検証を行うべきか検討中である。巨大構造については、配列デザインにおいて固有の問題を解決する必要があり、これにはしばらく時間を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた結果を踏まえ、より多くの構造に対するアミノ酸配列デザイン・実験を進めつつ、構造デザイン手法の改善をすすめる。特に、構造デザインの先にある機能デザインなどの目的に適うよう、より合理的なデザイン戦略を考案する必要があると考えている。
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Research Products
(2 results)