2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J02585
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
CAHAYA ADAM BADRA 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
|
Keywords | スピンポンプ / スピン注入 / スピンミキシング伝導度 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでのスピンゼーベック効果の実験でよく扱っているイットリウム・鉄・ガーネット (Y 3 Fe 5 O 12 , YIG)は複数の異なる磁化を持っている格子からできている。本年度の研究目的は希土類元素の磁化の源であるf電子のスピン注入現象を理解する。YIG内のイットリウムがf電子を持つ希土類元素に置き換えることで磁化が大きくなり、発生されたスピン流も大きくなる。f電子と同様にd電子も異方性を持つ。反強磁性的にふるまっている2種類の鉄イオン(Fe3+)の磁化もYIGの磁化を構成している。 スピン流の大きさはスピンミキシング伝導度に比例している。スピンミキシング伝導度は局在スピンの磁化と伝導電子の相互作用によって定まれている。強磁性絶縁体と常磁性金属の界面に存在する局在スピンと伝導電子の相互作用には、結晶方向が重要な様子の一つである。鉄は遷移金属の一つであり、結晶場相互作用に大きく影響されている。多くの物質では、遷移金属は正八面体や正四面体結晶状にある。結晶場による遷移金属の電子の波動関数の縮退がなくなり、磁化を作る3d起動波動関数は異方性を持つ。 本研究は局在した遷移金属による磁化が周辺の自由電子にどのように影響するかを解析した。結晶場の影響で遷移金属を源に自由電子へ注入されたスピン流が異方性を持つことがわかりました。この理論は遷移金属によって構成された強磁性絶縁体によるスピン流発生現象が、強磁性絶縁体と常磁性金属の界面の結晶方向に依存する。この理論解析も希土類元素によるスピン流発生現象にも適用できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的は希土類元素の磁化の源であるf電子のスピン注入現象を理解する。f電子はスピン角運動量と起動角運動量相互作用によって電子波動関数が異方性を持つ。YIG内のイットリウムがf電子を持つ希土類元素に置き換えることで磁化が大きくなり、発生されたスピン流も大きくなる。 f電子と同様にd電子も異方性を持つ。本年度でこのような異方性によって局在磁化と伝導電子のダイナミックを解析して、発生されたスピン流も異方性を持つことがわかる。この結果を持ち、異方性のあるスピンポンプをタイトルに、カナダで2017年2月20-25日に開催されたSpin Mechanics 4学会に発表する予定でしたが、カナダのビザが拒否されて、発表できなかった。現在、結果を論文にまとめている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では異方性を持つ遷移金属の電子のd波動関数によるスピン注入現象を理論的に説明することができた。d電子の他に、f電子も異方性を持つことができる。希土類元素はf電子を持ち、スピン角運動量と起動角運動量による相互作用によって電子波動関数が異方性を持つ。 YIGの磁化は鉄のd電子から成り立つが、ガーネット系磁性物質にはf電子も重要な役割が期待できる。YIG内のイットリウムがf電子を持つ希土類元素に置き換えることで磁化が大きくなり、発生されたスピン流も大きくなる。 結晶方向によって定められたd電子の異方性に対し、f電子は磁化の方向によって定められた。異方性の由来が違っても、同じように本理論で解析することができる。
|
Research Products
(1 results)