2016 Fiscal Year Annual Research Report
遅れ型関数微分方程式のダイナミクス:遅延による無限次元構造とカオス
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15J02604
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西口 純矢 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 遅延微分方程式 / 初期値問題の適切性 / 力学系 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度からの課題である「無限の遅れをもつ非自励系の遅延微分方程式」についての研究をさらに発展させた.この遅延微分方程式の解の漸近挙動を,力学系理論における概念である「大域的アトラクタ (global attractor)」を用いて調べることがこの研究のモチベーションの1つである.そこで,この遅延微分方程式の初期値問題が適切 (well-posed),すなわち,与えられた初期条件のもとで解がただ1つ存在することと,初期値問題の解の履歴 (history) が初期条件に連続に依存するかどうかを調べることが目標となる.
私は,初期履歴の空間が無限区間 (-∞, 0] で定義された連続関数の空間にコンパクト開位相(任意のコンパクト集合上での一様収束位相)を入れた空間である場合を考えた.時間遅れが無限である方程式に対する既存の理論では,初期履歴の空間がバナッハ空間であると仮定しており,コンパクト開位相はノルム化できないので既存の理論を適用することはできない.既存の理論を含む形で理論を構築するために,初期履歴の空間に必要な位相的条件である「延長可能性」という概念を導入した.さらに,通常のリプシッツ条件より弱く,かつ初期履歴の空間の計量に関係しない「延長に関してリプシッツ」という概念を導入した.そして,初期履歴の空間が延長可能であるという基本的な仮定のもとで,右辺が連続かつ延長に関して一様にリプシッツである任意の方程式について,その初期値問題が適切であるための必要十分条件は,x’ = 0 という自明な方程式が生成する解半群が連続な半流れを定めることであることを証明した.この結果は論文誌 “Journal of Differential Equations” に投稿し,受理された.
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(11 results)