2015 Fiscal Year Annual Research Report
熱的活動の前駆的現象に着目した氷衛星熱進化史の新展開:衛星系共進化の理解へ
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15J02620
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
平田 直之 神戸大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 氷衛星 / 土星 / クレーター |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画通り推移している。まず本研究計画の基礎部分となる各衛星の地理情報データ解析のための技術的手法を確立した。その上で画像データの解析も概ね完了した。衛星表面でのクレーターの記載・整理・計測も順調に推移している。衛星のクレーター形状の調査については現在準備している。これらの手法を通じて本年度は2つの論文を出版することが出来た。 まず計画の前半段階にあたる土星衛星ディオーネのレイクレーターについての研究を順調に終えた。この成果は国際学会誌に掲載された。レイクレーターは最新のクレーター生成率と表層風化速度を反映しており、その消滅期間は惑星地質学的に重要であると考えられている。解析結果として、ディオーネのレイクレーターの分布・数密度からそれらの寿命が数千万年程度とかなり短いことを明らかにした。また、その寿命は、Dark materialと呼ばれる物質の堆積作用によって決定されていることを発見した。この物質は土星系において広く認められイアペタスやハイペリオン等に存在するものが顕著である。この発見から、土星系に認められるDark materialの形成年代を初めて制約することができた。 このレイの研究はディオーネで現在起きていると考える膨張と関連があると見られ、計画における論文の前半段階を構成しており、その後半にあたるディオーネのDark TerrainとWispy structuresの年代比較のためのカラー比・地形解析に現在取り組んでいる。またこれらの過程で、クレーター数密度の半球集中を発見した。土星衛星のクレーターがオールト雲由来かもしれないという興味深い示唆を得た。この発見も、国際学会誌において出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画の予定通りに進捗が得られた。その過程で新たな発見があり、それらの成果も併せて2つの論文を出すことができたため
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確率した研究手法を用いて、ディオーネのDark TerrainとWispy structuresの年代比較のためのカラー比・地形解析に取り組みたい。また、クレーター形状の調査・解析を進めて、天体の粘性緩和等の熱的活動の検出にも挑みたいと考えている。
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