2015 Fiscal Year Annual Research Report
超精密X線分光で解き明かす巨大ブラックホールの物質放出によるバリオン加熱経路
Project/Area Number |
15J02737
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
瀬田 裕美 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | X線天文学 / ASTRO-H衛星 / マイクロカロリメータ / 電波銀河 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、X線天文衛星 ASTRO-H の打上げ年度にあたった。4月から11月まで JAXA 筑波宇宙センターにて衛星総合試験を完了し、その後種子島宇宙センターで打ち上げ前の最終確認を行い、2月17日に無事軌道投入されて「ひとみ」衛星と命名された。その後、順調に機器立ち上げが進み、搭載される全機器のファーストライトを迎えたが、3月末、原因不明の通信途絶に至り、現在復旧作業中である。 本研究計画の主要目的の1つである ASTRO-H 衛星搭X線精密分光装置 (SXS) の軌道上初観測を達成するため、私は以下の仕事に従事した。まず、打ち上げ前の試験では、装置性能を測定する各試験(衛星熱真空試験、電気試験等)に参加し、試験データの解析を行った。試験中、時々刻々とセットアップが変わる中、検出器の健康診断情報を含んだハウスキーピングデータをすぐに解析して、装置性能が十分に出ていること、不具合が生じていないことを準リアルタイムに判断していった。打ち上げ後も、この即時性を生かして衛星コンタクトごとにデータ処理を自動で行うものに拡張した。打ち上げ5日後にはセンサーの冷却を行って、5.9 keV においてエネルギー分解能 4.6 eVという。要求を遥かに上回る性能を確認し、また8日後には初めて SXS 装置を用いたX線観測に成功した。 また、これまで主に「すざく」衛星を用いて研究してきた、電波ローブによる巨大ブラックホールのジェットから噴出する質量・エネルギー量の測定についても進展があった。我々がはじめて発見した熱的プラズマガスが付随する電波銀河 Fornax A ローブについて結果をまとめ、「天文月報」に一般解説記事として発表した。さらに、次の候補である電波銀河 Centaurus A の「すざく」の観測データを解析し、学会発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ASTRO-H 衛星は、一年間打上げ前試験を行ない、SXS 装置に大きな不具合なく打上げを迎えることができた。そして、予定通り2月に打上げに成功した。その8日後、SXS 装置は初めて天体をX線観測できた。現在、取得した観測データを解析中である。 一方、3月末 ASTRO-H 衛星は、通信断絶になり、現在復旧作業中である。
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Strategy for Future Research Activity |
ASTRO-H 衛星の機能回復と原因究明のために、SXS 装置のハウスキーピングデータの解析にを行なう。その見通しは現時点ではわからないが、復旧次第、研究計画通り、SXS 装置で取得した観測データを解析し、学会、論文誌に発表する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Anatomy of the AGN in NGC 5548. VI. Long-term variability of the warm absorber2016
Author(s)
Ebrero, J.; Kaastra, J. S.; Kriss, G. A.; Di Gesu, L.; Costantini, E.; Mehdipour, M.; Bianchi, S.; Cappi, M.; Boissay, R.; Branduardi-Raymont, G.; Petrucci, P.-O.; Ponti, G.; Pozo Núñez, F.; Seta, H.; Steenbrugge, K. C.; Whewell, M.
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Journal Title
Astronomy & Astrophysics
Volume: 587
Pages: ―
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Anatomy of the AGN in NGC 5548. II. The spatial, temporal, and physical nature of the outflow from HST/COS Observations2015
Author(s)
Arav, N.; Chamberlain, C.; Kriss, G. A.; Kaastra, J. S.; Cappi, M.; Mehdipour, M.; Petrucci, P.-O.; Steenbrugge, K. C.; Behar, E.; Bianchi, S.; Boissay, R.; Branduardi-Raymont, G.; Costantini, E.; Ely, J. C.; Ebrero, J.; di Gesu, L.; Harrison, F. A.; Kaspi, S.; Malzac, J.; De Marco, B.; et al.; Seta, H.; et al.
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Journal Title
Astronomy & Astrophysics
Volume: 577
Pages: ―
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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