2015 Fiscal Year Annual Research Report
生合成経路を活用する希少ステロイド類の短段階合成法の創製
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15J02920
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
古田 未有 慶應義塾大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | ステロイド / 生理活性物質 / ドミノ環化 / 短段階合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ステロイド骨格を有する化合物は自然界に数多く存在し、さまざまな生理活性を示すことが知られている。生化学研究に必要な希少・非天然型ステロイドの供給が望まれているが、容易に入手可能なステロイドの部位選択的化学修飾は非常に困難であり、既報のステロイド合成法よりも効率的な手法の開発が求められている。そこで、容易に調製可能なセグメントを順次連結して必要な官能基を調えた環化前駆体を合成し、ドミノ環化でステロイド類の多環式骨格を一挙構築しようと考えた。今年度は、副腎皮質ホルモンとして知られるアルドステロンの合成を鍵とし、新規ステロイド骨格合成法の開発を検討した。アルドステロンは、別途調製したセグメントを連結した環化前駆体のドミノ環化で構築できる四環性化合物の官能基変換で得られると考えた。 不斉合成に先立ち、ラセミ体で合成を検討した。グリシドール由来のエポキシドを出発原料とし、位置選択的ヒドロアルミニウム化、ヨウ素化およびアルキル化を経由する11段階で側鎖に酸素官能基を導入した。続いて、別途調製したセグメントを順次連結して5段階でアルドステロンの全ての骨格炭素を含む環化前駆体を合成した。この環化前駆体に対し、酢酸マンガン(III)と酢酸銅(II)を用いるラジカルドミノ環化を行ったところ、望む四環性化合物は得られず、三環性化合物が痕跡量得られた。 本研究の成果は、国内学会である第57回天然有機化合物討論会、国際学会である16th Tetrahedron SymposiumおよびTHE INTERNATIONAL CHEMICAL CONGRESS OF PACIFIC BASIN SOCIETIES 2015で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規ステロイド骨格合成法を開発するため、複雑なステロイド骨格を有する副腎皮質ホルモンである、アルドステロンの効率的合成法を目指し、検討を重ねた。容易に入手可能な化合物から16段階で環化前駆体を収束的に合成し、ラジカルを経由するドミノ環化でステロイド骨格の複数の環構造を一挙に構築する条件を見出した。さらに検討を重ねればステロイド骨格の一挙構築が可能となり、アルドステロンの全合成が達成できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた知見を参考に、環化前駆体の側鎖の酸素原子の保護基や末端の置換基を変更して環化を検討し、ステロイド骨格の一挙構築法を開発するとともに、アルドステロンの全合成を達成する。四環性骨格を有するアルドステロンの合成で得られた知見を活用し、抗炎症・抗がん剤として臨床で広く用いられているデキサメタゾンの類縁体を調製する。
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Research Products
(3 results)