2015 Fiscal Year Annual Research Report
新型および多機能性テルペン環化酵素の解析を軸としたテルペン創出経路の拡充
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15J03090
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
上田 大次郎 新潟大学, 自然科学系, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | terpenoid / menaquinone |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室では枯草菌B. subtilisから新型のテルペン環化酵素(TS)を発見した。B. clausiiにおけるTSホモログ(Bcl-TS)は二機能性セスタテルペン(C25)/head-to-tail typeトリテルペン(C30)合成酵素であることを報告している。しかしながら、Bcl-TSの基質であるGFPPとHexPPのin vivoにおける確認はされていなかった。そこでB. clausiiにおけるE型イソプレニル二リン酸合成酵素(E-IDS)の同定とイソプレノイド代謝物の解析を行った。B. clausiiにおけるE-IDSのホモログはE-IDS1とE-IDS2-S/Lのみ存在した。E-IDS1は、すべての生物でイソプレノイド生合成のスターター基質として用いられるDMAPP(C5)からFPP(C15)とGGPP(C20)を生成した。一方、E-IDS2-S/Lは、DMAPP、FPPおよびGGPPをアリル型基質としたときに、C25, C30およびC35を生成した。二つのE-IDSの解析結果によってC35の経路が存在することが示唆されたため、B. clausii菌体内のイソプレノイドの詳細な解析を行った結果、微量成分の新規非環状C35炭化水素を同定した。また、GFPP, HexPP, HepPPはメナキノン(MK)の側鎖に利用されていることが知られていることから、MKの生産量を分析した。その結果、非環状テルペンの鎖長分布(C25:C30:C35 = 57:39:4)とは大きくことなっており、MK-7 (側鎖がC35)が主であることが判明した(MK-5:MK-6:MK-7 = 0:9:91)。今回E-IDS1とE-IDS2-S/Lを各々、二機能性FPP/GGPP合成酵素と三機能性 GFPP/HexPP/HepPP合成酵素と同定し、Bcl-TSを三機能性テルペン合成酵素として再同定した。特に、本研究は、多機能性E-IDSの同定にイソプレノイド代謝物の解析が極めて重要であることを示している。以前、単機能E-IDSとして同定されているものも、酵素反応実験において複数の生成物を与えるものが多数報告されており、今後それらのイソプレノイド代謝物の解析によって多機能性E-IDSとして再同定されるかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイコバクテリア由来新型テルペン環化酵素(HS)の探索について:現在1500種類のランダム変異体を作製し、順次解析を行っている。1,000種近い解析を行い、目的の変異体のようなものが得られているためおおむね順調である。 TSホモログのゲノムマイニングについて:現在Alicyclobacillus acidocardariusのTS等の機能解析を行っており、おおむね順調である。 Ambreinの大量合成系について:変異型酵素の作成や酵素反応条件の検討等を行い、ambreinの大量酵素合成法の確立を行ってきた。結果としてスクアレンから直接Ambreinが合成できるものが得られた。さらに詳細な酵素反応条件等を検討している段階であり、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
マイコバクテリア由来新型テルペン環化酵素(HS)の探索について:今後残りの作成した変異体についても解析を行う。目的の変異体については順次ゲノム解析を行っていく予定である。 TSホモログのゲノムマイニングについて:今後ほかの菌種についてもTSホモログ解析を行い、順次機能解析を行っていく予定である。 Ambreinの大量合成系について:詳細な酵素反応条件などを検討し、Ambreinの収率を上げていく予定である。
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