2016 Fiscal Year Annual Research Report
新型および多機能性テルペン環化酵素の解析を軸としたテルペン創出経路の拡充
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15J03090
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
上田 大次郎 新潟大学, 大学院自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | terpenoid / menaquinone |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリプレニルアセトン類(C5 x n + C3)は、甲殻類ホルモンや昆虫フェロモンなどの生理活性物質も知られているが、生合成研究はほとんど行われていない。Bacillus属細菌のユニークな生合成酵素の探索の中で、C33のファルネシルファルネシルアセトン(FFA)を天然物として初めて単離、同定した。FFAはメナキノン-7(MK-7)が活性酸素(スーパオキシドアニオン:O2-.)によって開裂して非酵素的に生産されることをin vitro実験によって証明した。また in vivoの実験において、MK-7生合成経路の上流遺伝子の枯草菌破壊株の脂質成分を分析したところ、両者からFFAを検出できなかった。したがって、枯草菌細胞内においてもMK-7がFFAの前駆体であることが強く示唆された。次に、O2-.を分解する酵素(スーパーオキシドディスムターゼ:SOD)の遺伝子破壊株を高温度と低pHのストレスにさらす実験を行った。つまり、ストレス時に発生するO2-.をSODが分解できないことによりFFA量が増加するか解析した。その結果、30℃培養において野生株の菌体乾燥重量に対するFFA量はほぼ同じであったのに対し、50℃培養においてFFA量が野生株の約3倍増加した。また、低pH(pH5.0)ストレスでもFFA量が野生株の約4倍増加した。以上のことからin vitro実験と同様に枯草菌細胞内においてもO2-.がMK-7を攻撃してFFAを生産していることが示唆された。ポリプレニルアセトン類の生合成経路として電子伝達系にて生じるO2-.によるメナキノン等のナフトキノン類の非酵素的開裂反応を提唱した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、ポリプレニルアセトンの生合成について新型酵素が寄与すると考えていたが、予想に反し、活性酸素によるメナキノンの非酵素的開裂反応であることを明らかにすることができた。その成果は第26回イソプレノイド研究会において奨励賞を受賞した。ポリプレニルアセトンはテルペン環化酵素の基質になるので、今後、多機能性解析に展開することができる。また、Ambreinの大量合成系の確立、Mycobacterim属由来の新型テルペン環化酵素の探索、Bacillus属由来新型テルペン環化酵素(TS)の変異酵素による非天然型テルペンの創出なども順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
Ambreinの大量合成系の確立については、精密な解析を引き続き行っていく。 Mycobacterium属の新規酵素の探索については新規環化酵素を失ったような変異株が得られたため、その詳細な解析を行っていく。 Bacillus属由来新型テルペン環化酵素(TS)に関して、他大学との共同研究によってホモログのX線結晶構造解析に成功し、変異酵素による詳細な解析を引き続き行っている。
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Research Products
(9 results)