2015 Fiscal Year Annual Research Report
実環境下における単極脳波解析のための瞬きアーチファクト除去手法の提案及び応用
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15J03395
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
叶賀 卓 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 脳波 / アーチファクト除去 / ブレインコンピュータインタフェース |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の通り,瞬きによって生じる電気信号のパターン解析を行なった.随意性及び不随意性の瞬きを誘発する実験デザインを構築し,随意性と不随意性の瞬きによる脳波への影響を明らかにした.この研究に使用したデータセットを配布することによって,瞬きアーチファクト除去手法の提案時に問題となっていた「信頼できるデータセットがない」という問題が解決された. また,2年目に行なう予定であった単極(観測信号が1種類の)脳波信号に適した時間領域における信号分解アルゴリズムを考案した.この手法は,テンソル分解を元にした因子分解手法であり,モデルベースの手法でもある.前もって瞬きによる影響が分かっている場合に,高精度な分解精度を示すことができる.前年度の時点では,被験者ごとに影響を検出し,そのデータを扱うことを予定していたが,今年度の解析で普遍的な瞬きによる影響を明らかにすることが出来たため,そのデータセットを使用すれば利用者本人の瞬きのデータを使用する必要がない.したがって,より実環境下で使用しやすい手法を提案することができた. また,実環境化において,瞬きアーチファクトを除去することで,脳波信号を入力としたシステムの精度が向上するのかを示すために,出力先となるハードウェアを構築した.具体的には,exiii社が開発した3Dプリント可能な義手を製作した.これにより,単極脳波信号を入力,義手操作を出力とするブレインコンピュータインタフェースの構築を今後の予定としている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
瞬目アーチファクトが脳波へ与える影響の調査により学術論文を投稿,採択されたのみでなく,その情報を基に実環境下で有効な瞬目アーチファクト除去手法の提案まで学術論文として掲載された.これにより,実際に実環境下で動作するハードウェアの製作まで見据えた研究を行なえているため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,3Dプリントするモデルを扱うためにCADに関する知識,リアルタイム処理のためのプログラミングに関する知識,信号処理中のパラメータの高速・ロバストな最適値への収束へ向けた確率統計に関する知識を蓄え,(1)信号分離アルゴリズムへの無限化(パラメータを疑似的に無限まですべて試すアルゴリズム.局所解に陥らずに最適なパラメータを導ける)能力の付加,(2)ハードウェアの改良,(3)高速なアルゴリズム構築,の順で研究を遂行していく予定である.
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Research Products
(9 results)