2015 Fiscal Year Annual Research Report
急性膵炎の重症化におけるケモカインCXCL16の機能解析と新規治療法への応用
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15J03440
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐久間 洋二朗 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 重症急性膵炎 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ヒト急性膵炎におけるCXCL16の関与の確認 急性膵炎患者および健常者の血清を集め、血清中サイトカイン発現プロファイルを解析した。その結果、健常者や軽症例に比べて重症急性膵炎において有意にCXCL16の発現が上昇していることを見出した。また組織学的な解析目的に、急性膵炎の膵切除標本を探索しているところである。 2.膵炎マウスモデルを用いたCxcl16の機能解析 ①野生型マウスにおけるCxcl16発現の解析:セルレインを用いた膵炎マウスモデルにおいて、膵炎の重症化の際にCxcl16が発現上昇していることを血清および組織で確認した。②Cxcl16ノックアウトマウスの解析:Cxcl16ノックアウトマウスは急性膵炎の重症化に抵抗性を示すことを、血清中の膵逸脱酵素および組織学的評価により見出した。また、Cxcl16ノックアウトマウスでは膵炎時における炎症細胞浸潤が野生型より有意に抑制されることを見出した。野生型とCxcl16ノックアウトマウスのサイトカイン発現プロファイルを比較したところ、膵炎刺激に対してCxcl16ノックアウトマウスでは各種サイトカインの発現が抑制されていることが分かった。③Cxcl16の機能解析(in vitro):サイトカインカスケードにおけるCxcl16の役割に着目し、in vitroの系においてCxcl16がどのようにして他のサイトカイン発現を調節しているのか解析中である。 3.膵炎重症化におけるCXCL16を標的とした新規治療法の探索 膵炎マウスモデルを用いて、膵炎の重症化前後で抗Cxcl16抗体を投与する。血清中の膵逸脱酵素、病理学的臓器障害を定量化することで、その治療効果の解析を始める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初の研究計画通りにまずヒト急性膵炎患者の血清を用いてサイトカイン発現プロファイルを解析した。それによって、重症例でCXCL16の発現が有意に上昇していることを見出した。また膵炎マウスモデルでも重症化の際にCxcl16が発現上昇することを見出し、マウスモデルがよくヒトの病態を模倣していることが確認できた。 次に野生型とCxcl16ノックアウトマウスを比較することにより、急性膵炎においてCxcl16がはたす役割の解析をin vivoで進めてきた。 その中でサイトカインカスケードにおけるCxcl16の機能に着目し、実験系をin vitroに移して、より詳細な機能解析にも取り組み始めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は膵炎重症化マウスモデルを用いた治療実験を中心に行う。野生型マウスに対して抗Cxcl16抗体を投与することにより、膵炎の重症化あるいは発症の抑制効果について検討する。 同時に、サイトカインカスケードにおいてCxcl16がどのように他のサイトカイン発現を調節しているのかについて、in vitroの系で解析を継続する。 また、もし急性膵炎の膵切除標本が入手できたら、病理学的な評価、各種炎症細胞浸潤の評価、免疫染色によりCXCL16発現の局在の評価などを行う。 最終的には研究結果を学術論文にまとめて発表する計画である。
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Research Products
(1 results)