2015 Fiscal Year Annual Research Report
解析対象酵素のがん組織における活性評価を実現する血中分子マーカーの開発
Project/Area Number |
15J03449
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西原 達哉 慶應義塾大学, 環境情報学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
血液や尿に代表される生体サンプル中に含まれる代謝物を網羅的に解析するメタボローム解析は、疾病の有無や進行度を把握する上で非常に重要な方法論である。一方で、血液や尿サンプル中に含まれる代謝物は生物個体における代謝の総体であるため、解析結果から有用なバイオマーカーを探索することは困難であるという課題を抱える。 そこで、本研究では、血液や尿サンプルから特定の化学反応を解析する基盤技術の確立を目標とした。具体的には、がん特異的な化学反応をコードする機能性分子を投与し、人為的に血液や尿にバイオマーカーとして排出させる方法論である。これより、より確度の高いがん診断が実現可能となると期待される。 以上の目的のもと、まず、本年度は血液や尿中に特定の代謝物として大部分が排出される外因性分子の探索に取り組んだ。探索の結果、投与したうちの大部分が尿に排出される分子を見出すことに成功した。今後は、見出した分子が標的とする化学反応選択的に放出される機能性分子を設計、合成する。設計した分子を担がんマウスに投与し、がん組織で生じている特定の化学反応解析が可能か検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、最も重要な血液や尿中に特定の代謝物として大部分が排出される外因性分子の探索に取り組んだ。実際に、投与したうちの大部分が尿に排出される分子を見出すことに成功した。そのため、一定の成果が得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度見出した分子ががんと関連する化学反応選択的に放出される機能性分子を設計、合成する。合成した分子を担がんマウスに投与し、生体内で狙った化学反応を追跡可能か検証する。がんにおける化学反応を追跡する上で、設計した分子をがんに効率的に送達させる必要がある。そのため、設計した分子の動態が問題となる場合は適切なキャリアーの利用も検討する。
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