2016 Fiscal Year Annual Research Report
解析対象酵素のがん組織における活性評価を実現する血中分子マーカーの開発
Project/Area Number |
15J03449
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西原 達哉 慶應義塾大学, 環境情報学部, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
|
Keywords | バイオマーカー / 酵素活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に引き続き血液サンプルから生体内の標的分子解析を実現する方法論の確立に取り組んだ。また、得られた研究成果の一部を論文発表した (T. Nishihara et. al. ChemBioChem in press)。 本方法論では、標的分子との反応に伴い、アセトアミノフェン (APAP) を放出する機能性分子 (synthetic biomarker) を利用する。設計した機能性分子を生物個体に対して投与し、一定時間経過後、血液サンプルをサンプリングする。その後、得られた血漿サンプル中の分子プローブ由来成分 (APAP, APAP conjugates, synthetic biomarker) をLC-MSにより定量する。標的分子の産生量は、標的分子の変換反応前後の成分の濃度比 ((APAP + APAP conjugates)/synthetic biomarker) を取ることで推定可能となる。 実際に、過酸化水素を標的分子のモデルとし、本方法論の実現可能性を検証したところ、先述した濃度比が、加えた過酸化水素量に応答することを明らかにした。過酸化水素は、がんや糖尿尿など様々な疾病との関連が示唆されているため、過酸化水素量をモニターできる本方法論が果たす役割は非常に大きいと考えられる。また、本方法論は、過酸化水素に限らず、多様な標的へ応用可能と期待される。そのため、今後、がん特異的な酵素を中心に様々な標的に対して本方法論を適用し、がん診断に向けた可能性の検証を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の足がかりとなる基本コンセプトに関して論文発表を行った (T. Nishihara et. al. ChemBioChem)。また、本方法論の高い汎用性を生かして、現在、がん関連酵素活性評価に向けて、検証実験を進めている。そのため、今後の展開に非常に期待が持てる。以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、本方法論に基づき、がん関連酵素を中心に、多様な標的に対して応用展開していく。実際に腹膜播種のモデルなどに設計した分子を投与し、血液サンプルを利用したがん診断が可能かどうか検証実験を進める予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
-
-
[Journal Article] Direct Monitoring of gamma-Glutamyl Transpeptidase Activity In Vivo Using a Hyperpolarized 13C-Labeled Moleuclar Probe.2016
Author(s)
T. Nishihara, H. A. I. Yoshihara, H. Nonaka, Y. Takakusagi, F. Hyodo, K. Ichikawa, E. Can, J. A. M. Bastiaansen, Y. Takado, A. Comment, S. Sando
-
Journal Title
Angew. Chem. Int. Ed.
Volume: 55
Pages: 10626, 10629
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
-