2016 Fiscal Year Annual Research Report
生体内イメージングを用いた疼痛伝達時の脊髄アストロサイトシグナリングの役割解明
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15J03522
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松田 烈士 九州大学, 薬学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | アストロサイト / 痛み / カルシウムイメージング / 脊髄後角 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄後角は感覚情報の単なる通り道ではなく、感覚情報は複雑な脊髄回路で様々な修飾を受けた後に上位中枢へ伝達される。近年、脳におけるグリア細胞が神経細胞と相互に作用することで神経活動の調整を行うことが明らかにされており、脊髄においてもそのような制御機構の存在が予想される。そこで本研究では痛覚伝達時における脊髄アストロサイト活動の解明および脊髄アストロサイトによる痛覚調整メカニズムの解明を目指した。本年度は、平成27年度に発見した痛覚刺激 (capsaicin) 誘発性のアストロサイトCa2+シグナルのメカニズムを解明するために以下の検討を行った。 (1) 脊髄アストロサイトの活性化メカニズムとして脳からの下行性の入力に着目した。青斑核ノルアドレナリン作動性神経特異的な神経毒素であるDSP-4を処置したマウスではcapsaicin誘発性のCa2+応答が減少した。 (2) 急性脊髄スライスを用いたCa2+イメージングにより、脊髄アストロサイトがノルアドレナリン-α1ノルアドレナリン受容体を介して細胞内Ca2+濃度の上昇を引き起こすことを明らかにした。実際にcapsaicin誘発性のアストロサイトCa2+応答にα1受容体が関与しているか否かをin vivo Ca2+イメージングにより確認したところ、予想通りα1受容体の阻害薬の処置によりアストロサイトのCa2+応答が抑制された。 (3)α1ノルアドレナリン受容体阻害薬を全身性に投与するとcapsaicin誘発性の疼痛行動が抑制された。 以上より、capsaicin誘発性のアストロサイトCa2+シグナルのメカニズムの一端を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた計画をおおむね遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
脊髄アストロサイト特異的にα1受容体を阻害した際の疼痛行動の変化を明らかにしていく。これまでの成果を論文化できるようにまとめていくと共に、今後は生理的な痛覚伝達における脊髄アストロサイトにCa2+イメージングにくわえ、慢性疼痛時のアストロサイトの活動も調べていく。
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