2015 Fiscal Year Annual Research Report
アミン類の新規酸化的修飾法の開発とペプチド修飾及びボカンジミンの合成研究への応用
Project/Area Number |
15J03524
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 慶 東北大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | アルカロイド / フタロシアニン / ペプチド / アミノ酸 / 酸化反応 / 空気酸化 / 全合成 / アミン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、まず、酸素を化学量論的酸化剤とする、鉄フタロシアニン触媒を用いたアミノ酸の新規酸化的修飾法に関して、求核剤や基質一般性の検証を行った。その結果、アリル基、プロパルギル基、およびアリール基などの種々の求核剤の導入に成功した。次に、本反応を無保護のヒドロキシ基、チオメチル基およびアミノ基などをはじめとする、様々な官能基を有するジペプチドへ応用し、新たに開発した酸化的修飾法が、従来の酸化反応にはない高い化学選択性を有することを見出した。さらに、本反応の適用により、生理活性ペプチドであるleucine enkephalin誘導体やβ-casomorphin誘導体のピンポイントな誘導化にも成功した。以上より、本反応は、官能基共存性の点において、既存の手法とは一線を画している。 次に、二量体型voacandimine Aの全合成に向けて、voacandimine Aの単量体であるdeoxoapodineの合成研究を行った。すなわち、合成終盤における酸化的環化反応を鍵とする、新規アスピドスペルマ骨格構築法の検討を行った。まず、市販のカルボン酸から5工程の変換で得られるアルコールを、ブロモエーテル環化反応とKeckアリル化条件に付すことで、第四級炭素中心を有する、二環性ピペリジンユニットへと導いた。その後、鈴木カップリング反応により、二環性ピペリジンユニットとインドールユニットを連結し、鍵反応前駆体の全炭素骨格構築に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、酸素を化学量論的酸化剤とする、鉄フタロシアニン触媒を用いたアミノ酸およびペプチドの新規酸化的修飾法について、基質適用範囲の拡大を目指した。まず、既に確立したアミノ酸の酸化的修飾法に関して、求核剤の検討を行った。その結果、求核剤のアリルスズを適宜変更することで、リバースプレニル基、プロパルギル基、およびアリール基の導入に成功した。 また、本反応条件を無保護のヒドロキシ基、チオメチル基、およびアミノ基をはじめとする様々な官能基を有するジペプチドに適用したところ、これら反応性の高い官能基を損なうことなく、化学選択的な酸化的修飾に成功した。アミノ酸およびペプチドの酸化的誘導化は、いくつか報告例があるものの、これらの官能基を有する基質への適用例は未だ報告されていない。さらに本反応を、生理活性ペプチドであるleicine enkephalin誘導体やβ-casomorphin誘導体へ適用し、本反応のさらなる有用性を示すことができた。以上の結果より、本反応は、官能基共存性の点において、既存の手法とは一線を画している。 次に、二量体型アルカロイドvoacandimine Aの全合成研究に着手した。まず、voacandimine Aの単量体であるdeoxoapodineの新規合成法の検討を行った。市販のカルボン酸から5工程の変換で得られるアルコールを、ブロモエーテル環化反応とKeckアリル化条件に付すことで、第四級炭素中心を有する、二環性ピペリジンユニットへと導いた。その後、鈴木カップリング反応により、二環性ピペリジンユニットとインドールユニットを連結し、鍵反応前駆体の全炭素骨格構築に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、deoxoapodineの全合成に向けた検討を行う。すなわち、本年度合成した鍵反応前駆体に対して、鉄フタロシアニン触媒と酸素を化学量論的酸化剤とする酸化的環化反応条件に付すことで、インドールを含む9員環からアスピドスペルマ骨格への変換を目指す。その後、数工程の変換を経て、deoxoapodineへと導く。 次に、二量体型アルカロイドvoacandimine Aの全合成へ向け、鍵反応のモデル反応を行う。すなわちモデル基質を用いた形式的な[4+2]環化付加反応に付すことで、両アスピドスペルマユニットを、アミナール構造を有するピペリジン環で連結する。
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