2015 Fiscal Year Annual Research Report
広葉樹林の林床における放射性セシウムの動態予測モデルの構築
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15J03548
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高田 モモ 広島大学, 総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | セシウム137 / 森林土壌 / 空間変動 / 林内雨 / 樹幹流 / 分解 / 下方移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である林床における鉛直方向への動態メカニズムをより詳細に明らかにするために,平成27年度は,まず森林土壌の放射性セシウムの空間的不均質性の調査を行い,その結果から,適切な森林土壌の放射性Csの汚染レベルを評価する際に必要なサンプルサイズを求めた。この研究に関して,学会発表を行い,また論文執筆を行った(28年度4月に受理された)。 また,林床における鉛直方向への動態について,平成26年度から引き続き調査を行った。その結果,2014年までに,森林林床(リター)から土壌表層への放射性セシウム移動は概ね終了し,ほどんどの放射性セシウムが森林土壌の表層に蓄積していることが明らかになった。平成27年度の調査によって,2年間分のデータの蓄積ができたため,学会発表を行い,現在論文を執筆中である。 2014年以降,放射性セシウムは森林土壌の表層に蓄積していることが分かったが,微量の放射性セシウムの下方移動は依然として起こっている可能性がある。この微量の放射性セシウムの下方移動を調べるため,新たなモニタリング装置を開発した。この装置については現在特許申請中であり,方法論の開発についての論文は現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は,予定されていたよりも多くの野外調査を行うことで,予定より多くのデータを得ることができ,概ね順調に研究は進展した。その結果,平成27年度には2本の査読付き論文が受理され,また2本の論文を執筆して投稿した。さらに,研究結果に関して学会やシンポジウム,ワークショップで7件の発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では,森林土壌の放射性セシウムの動態に関して,落葉広葉樹林に加えて,常緑針葉樹林(人工林)での調査を開始する予定であった。しかし,常緑針葉樹林(人工林)ではすでに多くの調査が行われているうえ,落葉広葉樹林の持つ空間的な不均質性が放射性Csの動態解明を難しているにも関わらず,それに関するほとんどなされておらず,その結果,落葉広葉樹林の土壌中放射性セシウム動態の詳しい研究が滞っていることが分かった。このことから,本研究では,常緑針葉樹林(人工林)での追加調査より,落葉広葉樹林における空間変動に着目したより詳細スケールの動態調査を優先することにした。
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