2015 Fiscal Year Annual Research Report
飛翔機能の進化的制約に着目した半翅目昆虫の多様化機構の解明
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15J03697
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小川 直記 北海道大学, 農学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 半翅類 / 機能形態 / 跳躍 / 半翅目 / 咀顎目 / 制約 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当研究課題に必要なサンプル収集を目的とし、ラオス、アメリカ合衆国、南米仏領ギアナを中心とした地域に赴き、許可を得てフィールドワークを行った。 これらの調査で概ね必要なサンプルが得られたため、順次解剖および観察を行い、データを蓄積・整理した。同時に、データ収集と並行して、共焦点レーザー顕微鏡、低真空走査型電子顕微鏡などの機器の操作や、パラフィン切片法などの手法の習得も行った。 これらのサンプルの観察により、チャタテムシの翅結合構造は単一起源ながら忠実に亜目ごとの系統を反映しつつ進化していることが示唆された。また、半翅目の筋肉相についてのデータから、半翅目内で複数回の跳躍機構が進化していることが示唆された。いずれも、半翅類における飛翔機能と、それに付随して胸部が受けているであろう容積上の制約を推測する上でカギを握る重要なデータであると考えている。 これらの研究成果は、論文化に先立ち1回の日本語口頭発表と2回の英語口頭発表にとりまとめ、学会での発表を行った。現在、この研究成果に基づいて3本の論文の投稿を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に行った野外調査により、平成28年度に必要な研究材料は概ね入手することができた。また、今年度以降に必要な野外調査の許可申請等も既に始めている。 研究成果は主要なデータの収集と学会での成果発表をすでに終え、いずれも論文執筆段階に入っている。以上から、当初の想定通りのペースでおおむね順調に研究は進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られているデータに加えて近縁群の観察を進める。特に、現在データが不足している半翅目異翅亜目を中心として仮説検証に必要なデータの蓄積を進める予定である。また、現在は学内の現有機器を用いてデータの収集を行っているが、現在学外施設の利用申請を進めており、サイズなどの制約で従来観察が難しかったアザミウマ目などを含むより広範なデータの収集を予定している。
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Research Products
(7 results)