2015 Fiscal Year Annual Research Report
ボツリヌス毒素複合体の宿主侵入機構に関する構造生物学的研究
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15J03770
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿松 翔 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ボツリヌス毒素 / 食中毒 / 腸管吸収 / プルダウン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではB型ボツリヌス毒素複合体が宿主の腸から侵入する際に利用するリガンドを探索することを目的としており、初年度ではボツリヌス毒素複合体の腸管接着因子であるHAに結合する分子を生体の腸組織から回収することを試みた。 HAの各サブコンポーネント(HA1、HA2、HA3)を大腸菌発現系から精製し、再構成法によりHAを調製した。C57BL/6NおよびBalb/cを用いて作製した腸管ループに蛍光標識したHAを投与し、再構成HAが小腸上皮に結合して細胞内に取り込まれることをコンフォーカル顕微鏡を用いて確認した。 C57BL/6NおよびBalb/cの小腸組織から数種類の可溶化条件でライセートを調製した。HAに付加した精製用のアフィニティータグを利用してマウス小腸組織ライセートからプルダウンをおこなった。プルダウンにより共沈殿したタンパク質を溶出後、SDS-PAGE電気泳動にて展開した。ビーズのみと反応させたコントロールと比較して、HA特異的にしていると考えられるバンドをゲルから切り出してマス解析したが、リガンドの候補分子と考えられるタンパク質は同定されなかった。そこで、プルダウンに用いるアフィニティータグやライセートの調製条件を再度検討することにした。種々の条件を検討した結果、細胞膜蛋白質のみを分画する条件でライセートを調製し、GST-プルダウンを行った場合にHA特異的に結合する蛋白質を電気泳動で確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は毒素複合体の腸吸収の機構を解明することを目的としており、初年度では生体腸組織からボツリヌスHAのリガンド候補を回収することを目標とした。 当初研究計画からやや遅れてはいるが、現在は候補分子の回収に成功し、候補分子の同定解析へと進めているところであり、概ね期待通りの進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
LC-MS/MS解析により候補分子の蛋白質同定を進めているところであり、同定後にその候補分子がHAの機能に関与しているのかを検討していく予定である。
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Research Products
(2 results)