2016 Fiscal Year Annual Research Report
新規視床下部分泌性小タンパク質による成長調節及び脂肪蓄積メカニズムの解明
Project/Area Number |
15J03781
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鹿野 健史朗 広島大学, 総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
|
Keywords | 肥満 / 脂肪合成 / 視床下部 / 新規生理活性物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近、鳥類及び哺乳類の視床下部領域に特異的に発現する2種類の新規遺伝子を発見した。新規遺伝子の遺伝子強制発現実験や小タンパク質の投与実験により、新規遺伝子は、脂肪蓄積や成長に関与することが明らかとなっている。また、新規遺伝子が脂肪組織において脂肪合成を亢進させることが示唆されている。本研究では、2種類の新規遺伝子についてその生理機能と作用機序を解明することを目的としている。 本年度は昨年作成したノックアウトラットの表現型解析を行った。しかしながら、新規遺伝子をノックアウトしても、体重や摂食量、脂肪量、エネルギー代謝等に変化は認められなかった。2種類の新規小タンパク質は同一細胞で作られ、同様の生理作用を有していることがわかっている。そのため、1種類の新規遺伝子をノックアウトしても、もう一方の新規遺伝子による代償作用により表現型が認められなかったことが考えられる。 また、新規遺伝子が脂肪組織における脂肪合成に関与することが示唆されたため、本年度は脂肪合成酵素のタンパク量や実際に脂肪組織における脂肪酸量を測定して、脂肪合成を亢進させることを明らかにした。また、脂肪組織のみならず骨格筋においても脂肪合成が亢進し、肝臓では脂肪合成の亢進が生じないことも示唆された。 これまでに肥満に関わる脳因子や、肝臓における脂肪合成について数多くの報告があるが、脂肪組織における脂肪合成を調節する脳因子はほとんど報告されていない。そのため本小タンパク質の生理機能及び生理機序の解明は、脳からの脂肪組織における脂肪合成調節機構の解明につながるため、本研究の意義は極めて高いと考えている。また本研究を進めることで、近年問題となっている肥満に関する新たな知見が得られるのみならず、脂肪組織における糖・脂質代謝の生理的役割の解明にもつながり、学術的にも意義のある研究であると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノックアウトラットを用いた解析では表現型が得られなかったものの、新規遺伝子が脂肪組織や骨格筋における脂肪合成を制御することを明らかにできた。また、脂肪肝の原因ともなる肝臓における脂肪合成には変化が認められなかったため、新規遺伝子による脂肪合成制御機構の解明が肥満や脂肪肝の発症、重症化等の改善につながることが期待される。 また、作用機序の解明につながる予備的なデータも得られ、来年度に行う新規遺伝子の制御機構の解明の糸口となる成果が挙げられた。
|
Strategy for Future Research Activity |
新規遺伝子の脳内作用機序の解析により、脳-脂肪組織間の脂肪合成調節機序の解明につながると考えている。
|
-
-
[Journal Article] Neurosecretory protein GL, a hypothalamic small secretory protein, participates in energy homeostasis in male mice2017
Author(s)
Matsuura D*, Shikano K*, Saito T*, Iwakoshi-Ukena E, Furumitsu M, Ochi Y, Sato M, Bentley GE, Kriegsfeld LJ, Ukena K
-
Journal Title
Endocrinology
Volume: 158
Pages: 1120-1129
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-