2015 Fiscal Year Annual Research Report
分子動力学シミュレーションで探る細胞環境におけるタンパク質フォールディング機構
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15J03797
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
原田 隆平 筑波大学, 数理物質系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 分子動力学シミュレーション / 分子混雑 / 細胞環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞環境(分子混雑環境)におけるタンパク質フォールディング過程解明のため, 初年度は効率的にタンパク質構造サンプリングを行うための方法論開発を行った. 具体的には, (1)タンパク質構造揺らぎに基づく構造変化予測法, (2)タンパク質状態逆分布に基づくEnhanced Sampling法, (3) 効率的アニーリング手法の開発を行った. (1)に関しては, タンパク質の重要な構造揺らぎを主成分分析により抽出し, 大規模振幅モード方向に構造リサンプリングしていくことで効率的構造サンプリングを実現するFluctuation Floodling Method (FFM) を開発した. (2)に関しては, タンパク質の状態をある反応座標系に射影することで得られる分布関数に関して, その逆分布を定義することで出現確率が小さい状態を特徴付け, それらを構造リサンプリングしていくことで, フォールディング過程などの「生物学的レアイベント」を再現する「TaBoo SeArch (TBSA) algorithm」を開発し, プロテインAのフォールディング経路やグルタミン酸結合タンパク質の開閉運動の再現に成功した. (3)に関しては, 通常の分子動力学シミュレーションに基づくアニーリングスキームを上記(1), (2)のような手法で置き換えることで, タンパク質の天然構造をより効率的に予測する新規アニーリング手法を開発した. 具体的には, トリプトファンケージの天然構造をブラインドプレディクションで, 平均自乗距離(RMSD)が1.0オングストローム以内の精度で予測することが出来た. いずれの手法も従来手法と比較して高い計算効率を示した. 今後はタンパク質単体からタンパク質複数の分子混雑系で適用するため, 手法を拡張していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンパク質単体での構造サンプリング法は確立させることが出来たので, おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は, タンパク質複数の分子混雑系での適用を目指し, 手法の改良および拡張を進めていく. また, 分子混雑系をGneneralized Bornモデルで近似した細胞環境モデルの開発も合わせて進めていく.
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Research Products
(13 results)