2016 Fiscal Year Annual Research Report
時空間的文脈を利用した効率的な知覚構築のメカニズムの解明
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15J03815
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金子 沙永 東北大学, 電気通信研究所, 特別研究員(SPD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 同時対比 / 文脈効果 / 傾き対比 / 因子分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続きKaneko & Murakami (2012)での明るさ・色同時対比の研究を多次元に拡張する研究を中心に行った。前年度からの継続実験として、見えの空間周波数に関する研究、傾き対比と色相同時対比の時間特性に関する研究がある。これらは追加実験等を経た上でそれぞれPerception誌、Journal of Vision誌に掲載決定した。 さらに本年度の新プロジェクトでは、連続的に傾きが変化する誘導刺激からの傾き対比に関する実験研究を行なった。前述のKaneko & Murakami (2012)と一見矛盾する同時対比の時間特性を示した先行研究(De Valois et al. (1986))との相違点について詳しく検討するため、先行研究の実験パラダイムを傾き次元に拡張し実験を行なった。結果、誘導刺激の傾きが連続的に変化する場合、変調速度が2-4 Hzでほとんど効果がなくなること、呈示方法によって同じ変調速度でも対比の効果量が異なることが明らかになった。これらの実験結果をもとに行なったシミュレーションでは同時対比という処理が単純な線形システムではなくなんらかの非線形性を持ったものであることが示唆された。 また別のプロジェクトとしてはJohn F Kennedy大学のDavid Peterzell教授を含む共同研究としてKaneko & Murakami (2012)で得たデータの因子分析を用いた再解析も行なった。当該論文では「同時対比には時間的に速い処理過程と遅い処理過程が含まれている」という提言を行なったが、この再解析ではデータのほぼ全てにおいて時間的に性質の異なる「速い処理」、「遅い処理」という区分の因子が一貫して抽出された。これ以外ではEEGを用いた予備実験も行なった。現在データ解析を進めており、今年度中には被験者数を増やした本実験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5月にVision Sciences Society annual meetingでポスター発表、1月には日本視覚学会冬季大会で口頭発表を行なった。5月の学会ではポスター発表の他に、研究対象である錯視のデモンストレーションを行い、そのうちのいくつかは他研究室のアウトリーチ活動に提供し、好評を得た。前年度行なった傾き対比および色相対比の実験結果をまとめた論文はJournal of Vision誌に掲載決定し、Anstis教授との共同研究での論文はi-Perception誌に2本掲載された。空間周波数知覚に関する研究内容をまとめた論文もPerception誌に29年度に入り掲載決定した。連続変調の誘導刺激を用いた傾き対比の実験に関しては2017年5月のVision Sciences Society Annual Meetingでの発表が決定している。新たな共同研究としてJohn F Kennedy大学のDavid Peterzell教授とのプロジェクトも開始した。3年度目の研究の準備段階として各種ワークショップへの参加、予備データの取得も行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究では、前年度までの心理物理実験を引き続き行うと同時に、脳機能計測実験も本格的に開始する。昨年度行なった脳波計測の予備実験では呈示時間の異なる傾き対比刺激に対する脳活動に違いが見られるかを検討した。この実験は、先行研究(Corbett et al., 2008)に基づくものであるが、初年度に行なったMRI予備実験と比較すると使用機材に特殊な見えなどがなく頑健に見える錯視であり、結果に期待ができる。脳波計測と同時に同じく時間解像度に優れた技術であるMEGを用いた実験も検討する。心理物理実験では、周期的に呈示される傾き対比刺激に対する錯視量のデータを元に、時空間的特性を説明できるような計算モデルを提案する。その上で当該モデルの傾き以外の視覚属性(明るさ、色など)への適応度を実験的に検討し、時空間文脈を利用した知覚がどれほど普遍的なものであるかを探る。
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Research Products
(7 results)