2015 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞由来Kii ALS/PDC新規病態モデルの作製と診断・治療法の確立
Project/Area Number |
15J03921
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
森本 悟 三重大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
|
Keywords | Kii ALS/PDC / iPSC |
Outline of Annual Research Achievements |
紀伊半島南部に多発する筋萎縮性側索硬化症 (ALS) とパーキンソン認知症複合 (parkinsonism-dementia complex; PDC)(Kii ALS/PDC)は、地域集積性及び家族性を有し、パーキンソニズム・認知症・筋萎縮が複合して出現する特有の神経難病である。本研究課題では、これまでに存在しなかったKii ALS/PDCの生物学的モデルを作製し、生体内で生じている事象・過程を解明するための動的研究を試みる。具体的には、Kii ALS/PDC患者由来の疾患特異的ヒトiPS細胞を作成し、各種神経系細胞に分化誘導を行う。それらを用いて、異常蛋白の蓄積や各種細胞ストレスといった病態解析並びに環境因子に対する反応性、遺伝学的背景、更には生前診断バイオマーカーや新規治療薬の開発を目的とする。本年度の研究成果は以下の通り。 ① Kii ALS/PDC患者由来iPS細胞の樹立 Kii ALS/PDC患者6名(男性:3名、年齢:66-72歳(平均65.8歳)、表現型:ALS+PDC 4名、PDC 1名、Dementia 1名)の血液(単核球ないしはT細胞)よりiPS細胞の樹立を完了した。それぞれの患者からのiPS細胞の樹立効率や形態・増殖には明らかな違いは認めなかった。また、iPS細胞としての性能を確認するために、①遺伝子導入ベクター残存の確認、②多能性マーカーによる染色、③3胚葉分化能の確認、④核型解析を行った。 ②疾患特異的iPS細胞から各種神経系細胞への分化誘導技術の確立 Dual smad inhibitionを基礎としたニューロスフェア法ないしは胚葉体形成法を用い、運動神経細胞、ドパミン産生神経細胞、海馬歯状回顆粒細胞、及びアストロサイトを誘導することに成功した。 これらは、Kii ALS/PDCの疾患病態を解析するためのfirst stepとして重要な成果である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度達成目標である、①Kii ALS/PDC患者由来iPS細胞の樹立、及び②iPS細胞から各種の神経系細胞への分化誘導については達成した。それぞれの細胞種の純化については、①細胞表面マーカーによるFACS、②耐性レポーターによる薬剤選択の方法を検討している。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、本年度で作製したKii ALS/PDC患者由来iPS細胞及び各種神経系細胞への誘導法を用いて、各細胞種毎の疾患病態(特にtauopathy、α-synucleinopathy、TDP-43 proteinopathyについて)解析を行っていく。
|
Research Products
(8 results)