2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J03923
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
倉科 佑太 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞組織 / 超音波 / 固有振動 / 細胞マニピュレーション / 音響流 / 細胞培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,超音波マニピュレーションにより細胞組織を形成することを目的とした.本年度はこの中でも,とくに細胞塊を三次元状的に形成することに焦点を当て,研究を行った.すなわち,細胞集積デバイスを製作し,細胞塊を生成した.本年度の前期(4月~10月)にはカルフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)にて音響流により細胞塊を生成する研究を行い,後期(11月~)には所属研究室にて定在波により細胞塊を生成する研究を行った.以下に各研究の成果について述べる. ・音響流による細胞塊の形成(前期) UCSDでは,MHz帯の超音波を用いて,音響流のせん断応力により細胞塊を生成した.細胞塊を生成するために細胞集積デバイス(音響流)を製作した.周波数2 MHzの音響流をウェルの底面から10分間照射し,細胞を集積した.この結果,音響流を照射せずに培養した細胞と比較して大きい細胞塊を生成可能であることが明らかとなった.これより,音響流により短時間で細胞塊を形成可能であることが示された.これらの結果は,現在UCSDのJames Friend教授と論文を執筆中であり,特許の準備中である. ・定在波による細胞塊の形成(後期) 所属研究室では,kHz帯の超音波を用いて,定在波の節に細胞を集積させて細胞塊を生成した.細胞塊を集積するための細胞集積デバイス(定在波)を製作した.播種された細胞は定在波の節に集積し,細胞塊を生成する.粒子を散布した場合,製作したデバイスは粒子が定在波の節に集積した.また,細胞を播種し,2時間インキュベータ内で培養した結果,細胞塊が形成された.本結果は,IEEE International Ultrasonic Symposium 2015で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
超音波マニピュレーションによる細胞塊の形成についての研究を進める中で,予定通りに2次元および3次元での細胞塊の生成の研究はすでに完了している.さらに,最近では3次元組織を生成するためのデバイスの構想や設計に着手している.その中で,国際会議で3報発表し,このうちのひとつはASME International Mechanical EngineeringCongress & Expositionであり,Best Paper Awardを受賞した.また,原著論文については査読中のものが1報,執筆中のものが1報ある.以上の成果は,当初の計画以上に研究が十分に進行していることを示すものである.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,細胞塊の集積率を向上させるため,上下の定在波だけではなく,複数の音源から超音波を照射し,複数の定在波を重ね合わせる試みを行う.さらに,これらの細胞塊を細胞組織を形成するために,定在波を任意の方向に操作可能なデバイスを製作する予定である.本研究は平成28年度で期間を終了するが,上記の様に細胞塊の集積率が向上し,製作したデバイスで細胞組織を製作することで,本研究の目的は全て達成される.
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Research Products
(9 results)