2015 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポーターOCTN1による中枢神経系制御と神経回路網形成の解明研究
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15J03940
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石本 尚大 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | OCTN1 / 神経幹細胞 / ミクログリア / ergothioneine / mTORC1シグナル / 神経栄養因子 / 中和抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経回路網の形成において、神経幹細胞(NSCs)及び脳の免疫細胞ミクログリア(MG)が重要な役割を果たす。一方、我々はNSCsがOCTN1の生体内基質であるergothioneine(ERGO)を細胞内に取り込むことにより神経分化を促進することを見出したが、その細胞内機構は不明である。また、OCTN1がMGに機能的に発現することを見出したが、MGにおけるOCTN1の役割は不明である。そこで本研究は、これら不明な点を解明することにより、神経回路網形成制御メカニズムの一端を解明することを目的として行った。 まず、ERGOによるNSCsの神経分化促進の細胞内機構について検討した。培養NSCsに対するERGO添加は、標的タンパク質のリン酸化を介して神経栄養因子NT4/5の発現を有意に増加させ、神経分化を促進させた。今後in vivoにおいても同効果を評価していく。 次に、MGの免疫応答におけるOCTN1の関与を検討した。低濃度ERGO存在化、リポ多糖(LPS)の曝露は、野生型MGの細胞体面積を有意に増加したが、octn1遺伝子欠損マウス由来MGの肥大化は確認できなかった。一方、高濃度ERGOの曝露は、LPSによる MGの肥大化を抑制した。したがって、OCTN1によるMG内へのERGOの取り込みは、MGの免疫能を適切に維持するのに重要である可能性が考えられる。今後、OCTN1によって免疫能を制御されたMGの神経回路網形成への関与を検討する。 OCTN1に対する良好な阻害剤がないため、中和抗体の作製に取り組んでいる。非特異的な抗体の産生を避けるため、アフリカツメカエル由来OocyteにOCTN1を過剰発現させたOocyte/OCTN1に対して、ファージディスプレイ法を利用したバイオパン二ングを行っている。得られた抗体は、発達段階・脳部位特異的なOCTN1の機能抑制実験に利用する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OCTN1による神経回路網形成の制御メカニズムとして、神経幹細胞の分化及びミクログリアの免疫能におけるOCTN1の関与を仮説に研究を進めてきたが、神経幹細胞の分化制御メカニズムとしてmTORC1、神経栄養因子シグナルの関与を見出した。またミクログリアの免疫能をOCTN1が制御する可能性を示唆した。国際・国内学会においても、その成果を発表しており、現在国際学術論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
OCTN1は生体内基質のERGOを神経幹細胞内に取り込むことでmTORC1シグナルを活性化させ、神経回路網の形成に関与する可能性が考えられる。今後、in vivoにおける同効果の評価を実施予定である。 また、OCTN1がミクログリアの免疫能を制御する可能性が示唆された。ミクログリアの貪食能や遊走能におけるOCTN1の役割や、OCTN1によって免疫制御されたミクログリアによる神経幹細胞の増殖・分化能や神経回路網の形成に及ぼす影響について検討していく。 Oocyte-panningにより、OCTN1中和抗体ができ次第、マウスにおいて発達段階や脳部位特異的にOCTN1発現抑制を行い、OCTN1の神経回路網への関与を評価していく予定である。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] A mutation in SLC22A4 encoding an organic cation transporter expressed in the cochlea strial endothelium causes human recessive non-syndromic hearing loss DFNB60.2016
Author(s)
Mariem Ben Said, M'hamed Grati, Takahiro Ishimoto, Bing Zou, Imen Chakchouk, Qi Ma, Qi Yao, Bouthaina Hammami, Denise Yan, Rahul Mittal, Noritaka Nakamichi, Abdelmonem Ghorbel, Lingling Neng, Mustafa Tekin, Xiao Rui Shi, Yukio Kato, Saber Masmoudi, Zhongmin Lu, Mounira Hmani, Xuezhong Liu
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Journal Title
Human Genetics
Volume: 135
Pages: 513, 524
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Dipeptide species regulate p38MAPK-Smad3 signalling to maintain chronic myelogenous leukaemia stem cells.2015
Author(s)
Kazuhito Naka, Yoshie Jomen, Kaori Ishihara, Junil Kim, Takahiro Ishimoto, Eun-Jin Bae1,3, Robert P. Mohney, Steven M. Stirdivant, Hiroko Oshima, Masanobu Oshima, Dong-Wook Kim, Hiromitsu Nakauchi, Yoshihiro Takihara, Yukio Kato, Akira Ooshima, Seong-Jin Kim
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Journal Title
Nature Communication
Volume: 6
Pages: 8039
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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