2016 Fiscal Year Annual Research Report
二重走化性をもつ流体型移流拡散方程式系の特異性構造の解析
Project/Area Number |
15J04076
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 正成 九州大学, 数理学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | Keller-Segel方程式系 / Navier-Stokes方程式 / 走化性方程式 / 時間局所適切性 / 有限時間爆発 |
Outline of Annual Research Achievements |
数理生物学の基礎方程式であるKeller-Segel方程式系と流体力学の基礎方程式であるNavier-Stokes方程式を連立した方程式系(以降,流体型移流拡散方程式系と呼ぶ)について考察した.我々は平成27年度に,両基礎方程式を連立し,更に正負両走化性を考慮した,(両走性)流体型移流拡散方程式系の初期値問題の時間大域的適切性解析に取り組み,研究成果を上げている.同成果は国際学術論文誌J.Functional Analysis(2016)に掲載されている. 平成28年度は,上記論文で我々が構築した流体型移流拡散方程式系のうち,正の走化性を加味した(負の走化性を考慮しない)方程式系を考察し,以下の成果を得た. 1)(正走性)流体型移流拡散方程式系の初期値問題の時間局所解を一意に構成した.更に,初期値の有するスケール不変量を用いて,解の局所存在時刻の特徴付けを与えた.また,小さい初期値をもつ解については,解が時間大域的に存在することを示した.加えて,特異性解析にも挑戦し,解が有限時刻で爆発現象を呈するための解自身へのCriterion(基準)を与えた. 2)(正走性)流体型移流拡散方程式系の初期値問題について,初期値の属する空間をBesov空間に拡張して適切性問題を考察した.我々は,空間2次元の場合にEuclid空間上の有限測度全体をも含むBesov空間を初期値の属する空間として採用し,Littlewood-Paley分解の高周波が小さい初期値に対する時間局所解を一意に構成した.更に,空間3次元以上については,斉次関数を含むBesov空間を初期値の属する空間として選ぶことで,自己相似解の一意的存在性の証明にも成功している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数理生物学の基礎方程式であるKeller-Segel系と流体力学の基礎方程式であるNavier-Stokes方程式を連立した方程式系を研究対象とし,初期値問題の適切性問題と特異性解析を解明した.研究成果は国際学術雑誌に投稿中である.加えて,上記研究を発展させ,初期値の属する関数空間をBesov空間にまで広げた際にも解の存在を示すことに成功している.
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Strategy for Future Research Activity |
流体型移流拡散方程式系の初期値問題の適切性について,Navier-Stokes流の場合には今年度の研究で詳細に解明することが出来た.今後の研究では,多様な流れを考慮して,系の有する非線形性や特異性構造に着目して解析を行うことを予定している.
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Research Products
(3 results)