2015 Fiscal Year Annual Research Report
ニッケル触媒によるシクロプロパン環開裂を伴う新規インドール骨格構築法の開発
Project/Area Number |
15J04214
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
堀 弘人 千葉大学, 大学院医学薬学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ニッケル / コバルト / シアノ化 / アシル化 / 遷移金属触媒 / ラジカル / ヘテロ環 |
Outline of Annual Research Achievements |
アレン及びシクロプロパン環の特徴的な反応性に着目し、シクロプロパン環を導入したアレンに対してヒドロシアノ化反応を行った。その結果、位置選択的なヒドロニッケル化に続くシクロプロパン環開裂の進行後、再度位置選択的なヒドロニッケル化が進行することを見出した。この反応では、共役ジエンが生成物として得られるため、出発物質の適切な位置にアルケンを導入することによって、生じた共役ジエンとの間におけるDiels-Alder反応の進行が期待できる。反応条件を種々検討した結果、環開裂反応は円滑に進行するものの望みのDiels-Alder反応は進行しなかった。 一連の検討において、コバルト触媒を用いたアルケンのヒドロシアノ化反応をジエン基質に適用した場合、位置選択的な五及び六員環形成反応が進行することを見出した。本法は、ニッケル触媒のヒドロシアノ化において必須であった高温条件を必要とせず、室温で円滑に進行する。 コバルト触媒によるヒドロシアノ化反応は、ラジカル中間体を経由していることが示唆されているため、ラジカルアクセプターを種々検討したところ、アシルルホスホナートを導入したアルケンを用いた場合、環状ケトンが収率良く得られることを見出した。 コバルト触媒による環化反応は基質一般性が高いことに加え、様々なヘテロ環や四級炭素を容易に構築することができる。今後は、シクロプロパン環の開裂を組み込むことで、鎖状基質を一工程で多環性骨格へ変換する反応の開発を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コバルト触媒を用いた位置選択的な環化反応が進行する新知見を見出し、様々なヘテロ環構築法を確立できた。更に、得られる環構造は天然物の構造中に含まれており、有用物質の合成研究へ展開することも期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
五及び六員環形成に焦点を絞って研究を進めてきたが、より複雑な分子を与える反応へ繋げることが課題である。今後は、ラジカル反応条件において開裂しやすいシクロプロパン環を出発物質に組み込むことで、前例のない分子変換の開発を目指す。
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Research Products
(3 results)