2015 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場応用を目指したKFe2Se2鉄系超伝導線材の開発
Project/Area Number |
15J04746
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
井澤 宏輝 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 超伝導 / 超伝導線材 / 鉄系超伝導体 / 鉄カルコゲナイド |
Outline of Annual Research Achievements |
三元系の鉄カルコゲナイド系超伝導体における中でも比較的単純な構造を有する、122系のKFe2Se2に着目し、強磁場応用を目指した線材開発を行いました。KFe2Se2はFeTe1-xSexにおいて生じることが知られている過剰鉄侵入による超伝導特性の低下が無く、Tc > 30 Kを有する高温超伝導体であるが、有効な線材化プロセスは報告されていませんでした。本研究では、非超伝導相であるKFe(Se1-xSx)2をコア前駆体として使用し、鉄シース中で熱処理を行うことにより鉄シースからFeをKFe(Se1-xSx)2へ供給することによって、超伝導相であるKFe2(Se1-xSx)2をコアにもつテープ線材の作製に成功しました。 熱処理温度、熱処理時間およびSe/S比の最適化により、Tc = 29.8 K、磁化Jc = 160 A/cm2 (0 T, 4.2 K)を有するKFe2(Se0.92S0.08)2テープ線材の作製に成功しました。 本手法において、生成熱処理段階で低密度な112構造から高密度な122構造へと相変態させるため、コアの体積減少が生じます。そこで、冷間プレス工程を導入し一軸圧を掛けることによるコア密度の向上を図りました。冷間プレス工程を導入することによりコア密度を向上させ、約34%程度であった超伝導体積分率を約53%まで上昇させました。 KFe2Se2には本質的な相分離が存在することが以前より報告されていました。本研究では、生成熱処理工程におけるクエンチ温度を段階的に変化させ、線材コアにおいても単結晶と同様の相分離が生じていることを明らかにしました。これにより、KFe2Se2線材における輸送Jc が低い原因の一つを解明し、KFe2Se2線材の超伝導特性向上への課題をより明確にしました。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(3 results)