2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J04926
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉村 柾彦 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ストリゴラクトン / 蛍光プローブ / バイオイメージング / 迅速化合物スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
寄生植物ストライガはイネやトウモロコシ、ソルガムなどの農作物に寄生し収量を大幅に減少させることから、アフリカを中心に大きな農業被害を及ぼしている。その被害は年間約1兆円を超え、早急に解決すべき問題となっている。ストライガは宿主植物が土壌中に放出している分子「ストリゴラクトン」を認識して発芽する。この仕組みを明らかにし、制御することはストライガ問題解決の糸口となるが、その鍵となるストリゴラクトン受容体は長い間未解明であった。前年度、申請者は受容体の働きを蛍光により可視化する分子プローブ「ヨシムラクトン(YLG)」を開発し、これを用いることでストライガのもつ10個のストリゴラクトン受容体を同定することに成功した。本研究ではストリゴラクトン受容体結合分子の迅速探索システムを確立し、ストライガの発芽制御分子の探索を行った。YLGはストリゴラクトン受容体の働きを蛍光により可視化することができるため、この蛍光を指標にすることで、競合する受容体結合分子を迅速かつ簡便に見つけ出すことができる。ITbMが保有する膨大な数の化合物を網羅的に評価することで、28個のストリゴラクトン受容体結合分子を得ることに成功した。得られた分子についてストライガの種子を用いた発芽試験を行ったところ、ストライガの発芽を阻害する分子と促進する分子を見出すことに成功した。本迅速探索システムにより見出したストライガの発芽制御分子はいずれも抗ストライガ農薬としてアフリカの農業問題を解決する糸口になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、蛍光プローブYLGとストライガの発芽制御に関わる受容体タンパク質を用いた受容結合分子の迅速探索システムを確立した。ITbMの化合物ライブラリーに含まれる膨大な数の化合物を評価することで、複数の受容体結合分子を得ることができ、これら分子群からストライガ発芽制御分子を見出すことができた。以上から満足な進展があったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ストリゴラクトン受容体の機能を蛍光により可視化するシステムは寄生植物ストライガのみならず、シロイヌナズナやイネなどの非寄生植物にも応用可能だと考えている。今後は、非寄生植物のストリゴラクトン受容体とYLGを用いた迅速探索系を確立することで、植物成長(枝分かれ、発芽等)を制御する分子の開発を目指す。
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Research Products
(5 results)