2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15J04927
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
齋藤 雄太朗 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | パラ位選択的官能基化 / C-H結合直接ホウ素化反応 / 迅速ライブラリー構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベンゼン環パラ位の置換基は分子全体の性質に大きく影響を及ぼすことから、その直接官能基化法の開発が強く望まれてきた。しかし 、一置換ベンゼンのパラ位を選択的に官能基化することは難しく、これまで汎用的な手法は開発されていなかった。一方でホウ素の置換基であるボリル基は様々な官能基に変換できることが知られており、パラ位選択的な直接ホウ素化反応が可能になればベンゼン環パラ位の多様な選択的官能基化が可能になると考えた。イリジウム触媒を用いたベンゼン環の炭素-水素(C-H)結合直接ホウ素化反応はすでに報告されているが、一置換ベンゼンに適用した場合、メタ位ホウ素化体とパラ位ホウ素化体が約2:1の割合で混合物 として得られる。そこで、嵩高い補助配位子を用いることでパラ位を選択的にホウ素化できるのではないかと考えた。フェニルトリメ チルシランをモデル基質として様々な補助配位子を調査した結果、嵩高いリン配位子である2,2’-ビス[ジ(3,5-キシリル)ホスフィノ] -6,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル (Xyl-MeO-BIPHEP)を用いることで高いパラ位選択性が発現することを見出した。さらに反応条件を最適化することで総収率94%、パラ位選択性88%を達成した。本年度は、米国エモリー大学のG. D. Musaev教授らのグループと共同で、開発した反応の計算化学による機構解明研究を行い、ACS Catal.誌にその結果を掲載した。また、医薬品へ開発した反応を応用し、医薬品化合物の迅速誘導化に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画であった、医薬品分子の迅速誘導化に成功した。現在、医薬品化合物に留まらず、複雑天然物の官能基化や機能性分子の官能基化に展開しており、幅広い有用化合物の迅速誘導化が可能になると予想される。さらに、米国エモリー大学のG. D. Musaev教授らのグループと共同で、開発した反応の計算化学による機構解明研究を行い、ACS Catal.誌に論文を掲載することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した反応を応用し、機能性分子やリード化合物の迅速誘導化が可能になったため、今後はさらに広い基質に対する展開とそれらの物性や活性の評価を行っていく。
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