2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J05301
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 純平 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 転写因子Pou2f3/Skn-1a / Trpm5陽性化学感覚細胞 / 味覚受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類は味蕾にあるTrpm5陽性細胞に発現する苦味受容体によって体外から侵入してきた有害物質を検出し、体内への侵入を防いでいる。近年、味蕾だけではなく鼻腔上皮、気管上皮など幅広い組織においてもTrpm5陽性の味覚受容体発現細胞が存在することが報告されている。しかしながら、詳しい機能や分化メカニズムは明らかになっていない。本研究では、マウスTrpm5陽性の味覚受容体発現細胞の機能や分化メカニズムの詳細な解明を目的として、以下の研究課題をおこなっている。 課題:Trpm5陽性化学感覚細胞における転写因子Pou2f3/Skn-1aの機能解明 申請者らはSkn-1a機能欠損マウスの解析から、呼吸上皮や嗅上皮、気管、尿道、胸腺も局在するTrpm5陽性化学感覚細胞にSkn-1aが発現していること、Pou2f3/Skn-1aが各組織のTrpm5陽性化学感覚細胞の分化・産生に必須な遺伝子として機能していることを明らかにした。以上の結果から、転写因子Pou2f3/Skn-1aがTrpm5陽性化学感覚細胞のマスター制御因子であることが示唆された。Trpm5陽性化学感覚細胞はマウスの耳管や消化器官にも存在することが報告されている。免疫組織化学やin situ hybridizationによって耳管や消化器官におけるPou2f3/Skn-1aの発現解析の結果、Trpm5陽性化学感覚細胞にPou2f3/Skn-1aが発現することが明らかになった。また、Pou2f3/Skn-1a機能欠損マウスを用いたPou2f3/Skn-1aの機能解析をおこなった結果、Pou2f3/Skn-1a欠損マウスではTrpm5陽性細胞が消失していた。以上の結果から、転写因子Pou2f3/Skn-1aがTrpm5陽性化学感覚細胞のマスター制御因子であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題:「Trpm5陽性化学感覚細胞における転写因子Pou2f3/Skn-1aの機能解明」では、転写因子Pou2f3/Skn-1aがTrpm5陽性化学感覚細胞のマスター制御因子であるという仮説を検証した。転写因子Pou2f3/Skn-1a遺伝子の機能を欠損させたマウスの組織には、どの組織においてもTrpm5陽性細胞が認められなかったことから、この仮説が正しいと考えられる。この研究成果は、国際学会( International Symposium on Olfaction and Taste 2016 )において口頭発表に選抜され、発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究結果から、転写因子Pou2f3/Skn-1aがTrpm5陽性化学感覚細胞のマスター遺伝子であることが明らかになった。Pou2f3/Skn-1a機能欠損マウスはあらゆる組織のTrpm5陽性化学感覚細胞が消失するため、機能が明らかになっていないTrpm5陽性化学感覚細胞の機能解析に有用であると考えられる。今後はPou2f3/Skn-1a機能欠損マウス組織を用いた生理学的解析によって、Trpm5陽性化学感覚細胞の生体機能の解明を目指す。
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Research Products
(1 results)