2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞増殖抑制活性を有する新規ペプチド性天然物の合成と生物活性発現機構の解明
Project/Area Number |
15J05499
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金田 雅仁 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
|
Keywords | 環状ペプチド / 天然物合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
Odoamideは沖縄産シアノバクテリア類より単離された強力な細胞増殖抑制活性を有する環状ペプチドである。本化合物の構成アミノ酸の立体化学は、キラルアミノ酸分析により明らかとなっているが、脂肪酸部分の立体化学については未解明であった。本年度の研究では、odoamideの絶対立体配置の決定、及びその全合成に取り組んだ。 まずはじめに、脂肪酸部分の立体化学を決定するために、天然物の還元処理により得られるトリオール誘導体の合成を行った。R体S体それぞれのRocheエステルを出発原料に用い、Evansアルドール反応、向山アルドール反応により、連続する不斉点の立体化学を作り分けることで、2箇所のメチル基の立体化学がそれぞれ異なる4種類のトリオールを合成した。合成したトリオールと天然物由来のトリオールの1H NMRスペクトルの比較により、脂肪酸部分の絶対立体配置を明らかにした。 続いて、odoamideの推定構造の合成を行った。odoamideの環構造を4つのフラグメントに分け、別途合成したそれぞれのフラグメントを順次縮合することで、直鎖ペプチドを合成した。合成した直鎖ペプチドに対し、環化、保護基の除去を行うことで、odoamideの推定構造を合成した。最後に、合成したodoamideと天然物のNMRスペクトルの比較を行ったところ、天然物とよい一致を示した。以上のように、odoamideの絶対立体配置を決定し、全合成を達成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は、立体化学が未決定であったodoamideの脂肪酸部分の絶対立体配置を明らかにした。さらに、odoamideの推定構造を合成し、天然物とのスペクトルデータの比較により、odoamideの絶対立体配置の決定を行い、初の全合成を達成した。このため、当初の研究計画の通り順調に研究が進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
Odoamideは強力な細胞増殖抑制活性を有しており、odoamideの構成アミノ酸と生物活性との相関には興味が持たれる。そこで、odoamideの構成アミノ酸についての構造活性相関研究を実施する。今回確立した合成法は、構造活性相関研究に不向きなため、まずはじめに、Fmoc固相合成法を用いた脂肪酸部位へのアミノ酸の導入を検討し、誘導体合成に適した合成法の確立を目指す。続いて、確立した合成法を用いて、構造活性相関研究を展開する予定である。
|
Research Products
(4 results)