2015 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類の大脳皮質錐体細胞シナプス形態の領野特異性とその生後発達
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15J05524
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小賀 智文 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 錐体細胞 / 樹状突起 / スパイン / シナプス / 大脳皮質 / 視覚 / 腹側視覚経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究の主な課題である成体サルの樹状突起スパイン形態の領野間差異を明らかにするための解析を行った。 また本主題に加えて、一次視覚野の視野地図と樹状突起形態の関連について検討を行った。
1. 樹状突起スパイン形態は予備調査において判明していた通り、成体サルにおいてのスパイン頭部形態の分布に領野間差異が存在し、樹状突起スパインの形態は一次視覚野(V1)より高次領野(前頭連合野12vl、視覚連合野TE)ほどスパイン頭部の大きさが多様であった。昨年度までの予備調査ではV1とTEの2領野のデータしか得られていなかったが、本年度は腹側視覚経路上の2領野(V1, TE)に加え、前頭葉において視覚経路から入力を受ける前頭連合野(12vl)のデータが得られた。なお、本研究の成果に基づいた論文を現在執筆である。
2. 一次視覚野の視野地図と樹状突起形態の関連は次の理由から調査した。一次視覚野細胞において、中心視を担当する細胞は周辺視のそれより、小さな古典的受容野を持つ。これまでの視覚経路における研究において、高次領野の錐体細胞は低次領野の細胞より大きな樹状突起を持つことが明らかとなっていたが、この樹状突起の大きさの違いが細胞の受容野の大きさを反映しているのか、細胞が存在する解剖学的な脳の位置(一次視覚野細胞は後頭葉に、視覚連合野は側頭葉に位置する)を反映しているのは不明であった。そこで本サブテーマでは、細胞の解剖学的な位置と受容野の大きさについての知見が蓄積されている一次視覚野において、細胞の受容野の大きさと樹状突起の広がりの程度の関連を調査した。 本研究の結果、中心視付近の細胞の樹状突起の広がりと周辺視付近のそれとの間には顕著な差が認められなかった。なお、本研究の成果に基づいた論文は投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では、3つのサブテーマに分けて研究を行っている。 これら3つのサブテーマは1. 成体サルにおける樹状突起スパイン形態の領野間差異の調査、2. スパイン形態分布の生後発達変化の調査、及び、2. 成体サルにおける錐体細胞形態及び、樹状突起スパイン数の領野内差異の調査である。 これら3つのサブテーマのうち、1、3は前述のようにデータ取得を終了しており、現在、報告準備中であり、概ね計画通りに研究が進んでいる。 サブテーマ2は2016年度からデータ取得等を含め推進していく。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度はこれまでの研究成果を科学技術論文として報告することに重きを置く。論文の投稿準備と並行し、残る研究課題のデータ取得を行う。
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Research Products
(2 results)